さらに番組で、“正しい袖の下の渡し方”について医師が語ったことが波紋を呼んだ。その方法とは、看護師が目を離した隙にカルテに挟む、ポケットにスッと入れる、手紙と一緒に渡すというもの。放送を見ていた東京都在住の主婦Aさん(47才)が言う。
「先生たちはもらうのを当然のように話していましたよね。どの先生もあまりに普通に話していて、呆れてしまいましたが、自分や家族の命を守るためには、多少は渡したほうがいいのかなと思いました」
しかし、「渡す必要はないし、治療内容に差が出ることは決してない」と断言するのは同番組出演者の森田豊氏。医師で医療ジャーナリストの森田氏は、『ドクターX』シリーズの医療監修をするなど、医療現場を取りまくさまざまな問題を私たちにわかりやすく伝えてくれる心強いドクターだ。
「ちょっと病室に行く回数が増えるくらいの差はあるかもしれませんが、治療は変わりません。ほかの人より手厚い医療が受けられるはず…という患者さんの自己欲求を満たすだけです」
この意見には前出の大竹氏も同調している。
一方で、私たちが袖の下を渡そうとしても、菓子折りやみかん1つさえ受け取らない病院もある。都内の総合病院に勤務する外科医が証言する。
「国公立の病院の医師は公務員で、金品の受け取りは賄賂になるため、病院の規則で受け取りを一切禁止されています。一度でも金銭でゴタゴタを起こすと、すぐに業界内に知れわたって転職も難しくなってしまうので絶対受け取りません」
そもそも、手術に失敗すれば医師としての名声を失いかねないし、手術が始まれば目の前の患者の命を救うために必死になるのが医師として大前提。それは謝礼の有無に左右されるものではない。
※女性セブン2016年5月26日号