「そんなとき、小学校のときの同級生に偶然会ったんです。今なにしてるんだと聞くと、大学生だという。記憶の限り、彼は勉強とは無縁のタイプでしたからびっくりしました。近所で英語の私塾を開いていた呉服屋のおじさんに勉強を教わったそうです。そのとき、急にぼくのなかで“大学”という選択肢が浮かんできました」(藤岡さん)

 同じ頃、家族との関係性も変わった。

「どこにいたの」 「こんなに遅くまでなんの仕事をしているの」

 顔を見ればそんな言葉を繰り返していた母が“変わった”。

「母は後に、『今が底なんだと思ったら気持ちが楽になった』と言っていました。親が自分を受け入れてくれたことで、ぼくの非行は終わった。友人が教えてくれた呉服屋のおじさんのところに行き、勉強を始めました。まずは大検(現在の高卒認定)をとり、大学受験勉強に突入しました。

 英語は“This is a pen”から、国語は小学4年生向けのドリルから始め、10か月にわたる1日10時間の猛勉強で、ぼくは同級生より2年遅れて國學院大学の経済学部に入学しました」(藤岡さん)

 人より遅れて大学に入ったことになんの後悔もない。だけど、遅れたからこそ時間を無駄にしないようにという気持ちがあった。東大や早稲田、明治など有名大学の学生たちが集まる「岩國哲人ゼミナール」に参加し、世界はどんどん広がっていく。有名企業の社長や、政治家などに会ったり、就活本を読み漁るなど、「広い世界」に夢中になった。

 就職活動を経て、建設業界大手の大林組に内定。やりがいのある仕事に夢中になったが、約3年働いた後に退社する。フジゼミを立ち上げるためだ。

「積み上げると1mくらいの高さになる受験勉強のときのノートやファイルは、宝物として大学時代も就職してからも家の本棚に並べていました。それを見ては、“こうやってイチから勉強すれば誰でもできるようになるのにな”という思いを募らせていたんです。自分が教えてもらった勉強をシステム化すれば、たくさんの人に自分と同じチャンスが巡ってくる。その思いがフジゼミの始まりです」(藤岡さん)

※女性セブン2016年6月2日号

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