左は若い頃から数多くの喜劇人たちと共演し、影響を受けてきた。それだけに、「喜劇」に対するプライドも強く抱いている。
「プライドはありますよ。昔は役者も二枚目・喜劇人って分かれていたけど、今はないもんね。昔みたいに修業して喜劇の芝居を身につけるというのは今のスタイルにはなくて、誰でもちょっと面白かったらできる世の中になった。でも、それだと深みがないんだよな。段階を踏むというのは絶対に必要だと思う。そういうのをやらせてもらえないから、今の人はかわいそうだよ」
●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』(文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』『市川崑と「犬神家の一族」』(ともに新潮社)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。
■撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2016年6月10日号