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中国の洗剤CM 人種差別と批判され「中国に人種差別ない」

人種差別的と非難された中国の洗剤CM(Youtubeより)

 中国の上海雷尚化粧品の洗剤「チァオビ」のテレビCMについて、「人種差別だ」と欧米の大手メディアの批判が殺到している。コインランドリーで、中国人女性に魅かれて近づいた黒人男性が口に「チァオビ」の固形洗剤を入れられ、洗濯機に押し込まれる。洗われた後、出てきたのは黒人男性ではなく、イケメンの中国人男性だった──という内容。

 このCMについて、米大手ウェブサイト「バズフィード」は「2016年で最悪の人種差別的なCM」と名指しで批判したほか、CNNなど大手メディアや米政府系放送局「ボイスオブアメリカ」も一斉に非難。

 これに対して、同社は当初「そんなに深い意味はない。ノーコメントだ」と主張したほか、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際問題専門紙「環球時報」(電子版)も「民族差別的な意図はなく、たんに米国など西側社会の敏感さを理解できなかっただけ」と弁護するなど、このCMをめぐって「欧米対中国」という対立の図式が鮮明になった。

 このCMは5月には中国国内のテレビで放送されたが、大きな話題になった。ユーチューブなどインターネット上では「チァオビ」を表す「QIAOBI」で検索すると、50秒のCMを見ることができる。

 このCMの出だしは、ノースリーブのTシャツを着た短パン姿の中国人女性に黒人男性がキスを迫り、もう少しで唇が重なるという場面で、男性が洗濯機に押し込められてしまうなど、CMはテレビ視聴者の関心を引くように作られている。

 CNNは「これは明らかに人種差別的。このCMを面白がるのならば、その人は人種差別主義者だ」と指摘する。

 これに対して、環球時報は「中国社会は古来、民族を明確に区別しておらず、人種で差別するという意識形態は存在しない。すなわち、民族問題と差別意識とは互いに何の関係もないのだ」と解説し、中国人と欧米人の考え方の違いを強調した。

 世界的な騒ぎに発展したことでこのメーカーは謝罪を表明し、CM放送を中止した。

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