国際情報

中国の泥棒 「貧困地区に小学校設立」が最終目標だった

格差が犯罪を助長している面も(写真:アフロ)

 中国の犯罪の面でも大国といえるが、内情は実に様々だ。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰が指摘する。

 * * *
 毎月8万4000元(約138万6000円)を稼ぐこと。一日の目標は2800(約4万6200円)元。一日に使用するタクシーなど車の代金は30元~50元に抑える。節約を忘れないように。派手なふるまいは絶対に慎む。弟には車を一台買ってやる……。

 まるでどこかの営業マンが作成した「目標計画」か「戒め」のようでもあるが、実はこれを作成したのが中国の泥棒である。そう聞けば、多くの読者は違和感を覚えるに違いない。

 その名も「2015年 100万元(約1650万円)を稼ぐための目標計画」──。

 重慶市江北区の石門派出所の警官がマークしていた泥棒のアジトに踏み込んだところ、この「目標計画」が壁に大きく張り出されていて驚いたという。現地の『重慶時報』が実物の写真とともに伝えている。

 記事によれば泥棒は四川省安岳出身で名を羅という。空き巣の常習者だったようで、浙江省では七年の刑にも服している。

 今年5月10日、重慶市江北区に暮らす老夫婦がほんの30分ほど家を空けたスキに羅ともう一人の相棒が侵入し、金品を盗んだことで被害届が出され、警察が犯人を追いかけた。

 最終的にお縄となった羅だが、その入り口となったのは相棒の張であった。2日後の12日に旅館にいるところを逮捕された。当初、犯行を認めなかった張だったが防犯ビデオに残った映像を見せられ観念、羅と一緒だったことを認めたという。

 二人の逮捕は無理して侵入盗を繰り返したことが原因とされる。二人が盗んだモノは、実はすでに羅が設定した1日の目標を額を上回っていたのだが、張が一部を独り占めしていたため羅は目標に達していないと思い込み犯行を重ねたというから皮肉である。

 羅の部屋の壁に貼られた「目標計画」の最後には、弟に家と車を買ってやるという言葉に続いて、「将来はお金のない子供たちが通う小学校を設立する」とあったという。

関連キーワード

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン