──増税による景気悪化が増税再延期の理由であれば、消費税率を元に戻すのが筋ではないか。
本田「たしかに理論的には8%の税率を5%に戻すのがベストだと思います。しかし、今回の先送りの決断は、大変な政治的過程を経て8%に引き上げた経緯を踏まえ、それでも『賃金が上がるまで待つ』というギリギリの判断です。
現実としてみれば、いずれは増税の負担を国民にお願いしなければならない状況は変わらないから、もう一度元に戻すのは政治的に合意が得られないと思う」
──何か方法論のアイデアはないのか。
本田「理想論は私にもある。一度税率を5%に戻して、景気が良くなってから、慎重に6%、7%、8%と引き上げ、それでも景気が落ちなければ9%、10%と上げていくのが確実な方法ではあります。消費税率を2%や3%一気に上げるのは経済にダメージを与えるリスクが大きい。本来、消費増税はマイナスの効果を見極めながら1%ずつ上げるべきというのが私の考え方です」
※週刊ポスト2016年6月17日号