ママ鉄に人気にプラレール、ドリームレールウェイ
鈴川さんが注目されているのは、鉄道知識の面だけではない。2014(平成26)年に出産を経験した一児の母で、いわばママ鉄。そうしたことから、子供を持つ母親たちから支持が集まる。
ママと鉄道、奇妙な取り合わせのように感じるかもしれない。しかし、鉄道趣味界において、ママ鉄は無視できない存在になっている。
それを端的に表しているのが、プラレールでお馴染みのタカラトミーだ。プラレールは男児向け玩具として有名だが、近年に女子をターゲットにしたプラレールを発売した。
「“ドリームレールウェイ”と名づけられた同シリーズは、ディズニーとコラボしています。従来の鉄道模型とは異なり、女性人気が高いのが特徴です。以前には、スヌーピーとコラボしたこともあり、こちらも人気になりました。同シリーズは、“東京おもちゃショー2016”にも出展しましたが、そのときは日比谷花壇に協力を依頼して、バラのレイアウトをつくりました」(タカラトミーベーシック事業部プラレール企画部担当者)
従来、鉄道模型は本物により近いことがウリにしていた。男性の鉄道ファンの多くは、本物志向だったからだ。
対して“ドリームレールウェイ”シリーズは、現実にはあり得ない車両が走る。これまでとは、異なったコンセプトで制作されている。
担当者によると「遊んでいないときは、“ドリームレールウェイ”をインテリアとして飾っているママもいる」と言う。つまり、ニュータイプの鉄道模型といえる。
女性からの目線を気にしているのは、おもちゃ会社だけではない。駅のトイレをきれいに快適な空間へと改修し、かわいらしいデザインの車両を走らせるなど、鉄道事業者も女性からの印象をよくする試みを続けている。女子によって、鉄道は変わり始めている。それは鉄道業界全体にとってもプラスに作用している。一過性のブームに終わらない、鉄道女子の活躍を今後も期待したい。