旧東京中央郵便局舎を移築した『KITTE』とか、旧東京銀行集会所を移築した『東京銀行協会ビル』とか、外壁だけでも残せる手法があるので、旧駅舎は残してほしいですね。これまでも地域行事でJRさんと地元はうまくやってきたから、フレンドシップを取りながら、駅舎問題も解決できると思う」
同様に、駅舎移築を希望するのは、“原宿といえばクレープ”を根づかせた、1977年創業の『カフェクレープ』社長小野瑞樹さんだ。
「たしかに建て替えは時間の問題と思っていました。ですが、間違っても新興住宅地に多く見られるようなモダンな駅の建物だけはやめたほうがいい。モダンな建物はできた時が頂点で、あとは劣化していくだけです。ディズニーランドのシンデレラ城ではないですが、駅舎自体が原宿のイメージを強烈に印象づけられ、写真を撮りたくなるようなランドマークのようになるのが理想的ですね」
一方、1965年に日本で初めての億ション「コープオリンピア」を建てたことでも知られる『南国酒家』の三代目社長・宮田順次さんは、建物が問題ではなく中身が大切と主張する。
「最近の原宿の利用人口はキャパを超えていますよ。でも新宿や渋谷のほうが優先順位が高く、原宿の駅前問題は後回しだったんです。東京五輪開催が後押しとなって、やっと開発されることになり、よかったと思います。もともと原宿は、戦後、米空軍の兵舎ワシントンハイツがありましたから、彼ら向けに舶来ものだったり、ハイセンスなものを扱う街でした。
それはつまり、昔から新しいものを受け入れ、変わり続けるのが街の生き方なんです。古くから原宿に残る人だって、それを受け入れて住んでいるはず。だから駅舎など建物が問題ではなく、原宿という街の歴史をリスペクトして、エッセンスを入れたらいいと考えています。原宿にはクリエーターもたくさん住んでいるんだから、アイディアをどんどん出してもらえればいいと思いますね」
※女性セブン2016年7月14日号