キム・ハヌルもイ・ボミを追いかけ日本ツアーに参戦したかったが、それは叶わなかった。ファンクラブまで持つ人気選手の海外流出を、韓国ツアーのスポンサーたちが認めなかったのだ。だが、韓国ツアーに残った彼女は奮起し、2011年と2012年に2年連続で賞金女王を獲得。実力で周囲を黙らせ、イ・ボミから遅れること4年、2015年から日本ツアーに参戦する。

 キム・ハヌルが日本デビューしたその年に、国内史上最高の2億円で賞金女王になったのはイ・ボミだった。ライバルの参戦が発奮材料になったのは間違いない。今後も日本ツアーは人気面、実力面ともにこの2人が牽引していくだろう。

 神戸のマンションを拠点にツアーを転戦するイ・ボミに対し、キム・ハヌルは今年からホテルを拠点に活動し始めた。

「1年目はマンションを拠点にしていましたが、練習時間を確保するためにホテル暮らしを始めました。試合が終わると次の会場近くのホテルに移動し、練習日は早朝からゴルフ場に向かうという生活を送っています」(マネージメント会社)

 今年にかける彼女の並々ならぬ決意が感じられる。ラウンド後、コースの打撃練習場では専属コーチについてスイング修正をするキム・ハヌルの姿があった。

 素晴らしいライバルがいて、さらなる上を目指して努力をする。強い選手とはこういう選手だ、という手本を見たような気がした。

◆キム・ハヌル:1988年12月17日、韓国・京畿道生まれ。27歳。建国大卒。12歳でゴルフを始め、韓国ツアーでは2011年、2012年の賞金女王に輝き、通算8勝。2014年に日本ツアーのQTに挑戦し、14位で出場権を獲得。2015年から本格参戦し、9月の「マンシングウェアレディース」で初優勝を飾る。1年目は賞金ランク23位でシード権を獲得。2年目の今シーズンは3月の「アクサレディス」でツアー2勝目を挙げた。170cm、58kg。家族は両親と弟。

撮影■藤岡雅樹 取材・文■鵜飼克郎

※週刊ポスト2016年7月8日号

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