小林市議の発言で三重短大は未熟な生徒が通う低ランク大だと暴露されてしまったことになるが、それでいいのだろうか。三重県は私が住む愛知県の隣県で、三重短大に通学する学生もいる。同大は三重県に三つしかない国公立大学の一つであり、概して評判もよく学生の質も高い。とても生徒が通っているようには思えない。
ここまで読んできて分からない読者もいないと思うが、念のため説明しておこう。
学校教育法では、大学生(短大生を含む)を「学生」、中学生・高校生を「生徒」と定めている。日常語でも同じだ。今では死語になった全学連や全共闘は学生運動であって生徒運動ではない。部活の体育館の割当てを決めるのは生徒会活動であって学生会活動とは言わない。
ただし「学生」を広義に使うことはある。中高生が着ても大学生が着ても「学生服」。映画館の「学生割引」は中高生も可。反対に「生徒」を広義に使う例は低偏差値大しかない。英語のstudent(学生)とpupil(生徒)もほぼこれに対応している。中学の生徒の時に習ったけどね。
●くれ・ともふさ/1946年生まれ。日本マンガ学会前会長。著書に『バカにつける薬』『つぎはぎ仏教入門』など多数。
※週刊ポスト2016年7月15日号