国内

戸塚宏氏 男児置き去り事件に「父がいい教育施していた」

戸塚ヨットスクール校長の戸塚宏氏

 ドラマ「スクール☆ウォーズ」で山下真治演ずる部活教師が、ラグビー部員の頬を張る画面が涙を誘ったのは30年前。いまや熱血指導という名の下でも、体罰は「絶対悪」の時代である。ただし一方の意見のみが「正義」とされる世の中は、何がしかの窮屈な思いを抱かせる。戸塚ヨットスクール校長で、指導中に生徒が死亡したことで非難を浴びた戸塚宏氏は、今でも体罰肯定論者である。その意見に賛同することはできないが、現在の教育界の歪みを照射しているのも事実だ。ノンフィクションライターの中村計氏が訊いた。

 * * *
 おもしろい見方だった。

 北海道の男児置き去り事件について尋ねると、戸塚ヨットスクールの校長・戸塚宏は、まずはこう語り始めた。

「あの男の子は、生きていたんだよね。それは、生命力があったということ。父親がいい教育を施していた証拠。生命力をいかに大きくするか。それが教育の最大の目的だと言ってもいい」

 新宿御苑を見下ろすマンションの一室。ジャケットに身を包んだ戸塚は、「戸塚ヨットスクールを支援する会」事務局のイスに腰掛け、滔々と語った。身長159センチ、体重65キロ。猪首で短躯だが、ヨットで鍛えた首回りも、胸囲も、腰回りも、服の上からでも分厚く重みが感じられる。軽妙に聞こえがちな名古屋弁も、ずしりと響いた。75歳とはいえ、意気軒昂な様は、それこそ生命力に満ちているように映った。

 置き去り事件の話には続きがある。父親が会見で、子どもに謝罪したと語ったことについて、こう指摘した。

「あれはね、マスコミが謝らざるを得んようにしてるんじゃない。お父さんが悪いという風にしようとしとるんや。マスコミは、いい子ぶりっ子するからな。子どもは人に向かって石を投げてたわけでしょう。だから怒られた。そこは知らん顔して、父親の威厳だけを傷つけた。あれで、あの子がダメになったらどうするの。だから、マスコミは悪魔なんよ」

 二言目には、マスコミに対する不満が口をついた。

■戸塚 宏(75)戸塚ヨットスクール校長 1940年生まれ。名古屋大学工学部卒。1975年、沖縄海洋博記念「サンフランシスコ─沖縄単独横断ヨットレース」優勝。1976年、愛知県美浜町に戸塚ヨットスクールを開校。

※SAPIO2016年8月号

関連記事

トピックス

警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン