だが、今後の運営スタイルには課題も多い。その最たるものが人手不足への対応だろう。コンビニは店内調理など、ただでさえ従業員の仕事量が増え続けているうえに、高齢者の御用聞きや地域サービスへの関与が深まれば、人員を増強する必要がある。
「どうせなら、同じ団地内で働ける高齢者を積極的に採用すればいいのでは?」との意見もあるが、そう簡単に解決できる問題ではない。
「高齢者は長い時間働けない人が多いし、複雑な商品発注や情報端末の操作などはどうしても若い人のほうが得意。店舗を切り盛りするフランチャイズオーナーとしては、やみくもに人件費を上げることだけは避けたい」(コンビニ関係者)
何よりも、いくら大規模な団地といっても、どのくらいの客数や売り上げが見込めるかは不透明だ。
「やはりコンビニは首都圏で人の多い場所に出店するのが一番効率がいい。郊外の団地内でサービスを拡充して採算が合わなければ、コンビニ本部やURから補助金をもらうなど、サポートを受ける必要が出てくるかもしれません」(前出・清水氏)
URの担当者によれば、「当面は100か所の団地を目標にコンビニを設置したいと思っているが、候補となる団地の場所や出店コンビニの公募方法、マーケットに応じた補助金の有無などについては、これから協議していく予定」と話す。
「団地コンビニ」の経営は、高齢者に対する利便性を追求しながら、いかに採算性を高めていくかという難しい判断を迫られることになる。