国際情報

櫻井よしこ氏が中国軍艦領海侵入で取るべき対応提案

陸自西部普通科連隊の島嶼防衛訓練 読売新聞/AFLO

 尖閣諸島の領有権を主張してきた中国が、いよいよ軍艦まで使って日本の海に触手を伸ばし始めた。相次いで領海や接続水域に船を入れてくる中国に対し、日本はどう対処すべきか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏が解説する。

 * * *
 6月15日未明、中国海軍の情報収集艦が鹿児島県の口永良部島近くの日本領海に侵入しました。続いて16日午後には同じ中国の情報収集艦が沖縄県の北大東島の接続水域に入りました。それより約1週間前の9日には中国海軍の軍艦が尖閣諸島の接続水域に侵入しています。外務省が抗議しても、中国の軍艦の動きは止む気配がありません。

 中国のやり方を思い出してみましょう。中国はまず領有権を主張します。次に漁船を入れ、続いて公船を侵入させます。それを常態化させ、最後に軍艦を入れて島を奪ってしまうのです。日本の領海や接続水域に堂々と軍艦を入れてきた。南シナ海で東南アジア諸国の島を奪い続けている中国が、東シナ海でも次なる一歩を踏み出したと言えます。

 安倍政権以前の日本政府は、中国を「刺激する」という理由で、国家として当然すべきことをしてきませんでした。中国は、こちらが配慮すれば相手も慮ってくれるという幻想が通用する国ではありません。日本の国防を考えて、軍事力の行使も含めて国際常識とされる権限を、自らを律しながらもきちんと行使すべきです。国際的なスタンダードにのっとった行動ができるよう、自衛隊に関する法規の早急な解決が必要です。

 中国の暴走を止めるために、いま日本は尖閣諸島の周辺に海上自衛隊の艦船を2隻配備しています。

 中国は海警局の公船が毎月3回ほど、我が国の接続水域と領海を侵犯し続けています。公船の後方、北には中国海軍の軍艦が常駐しています。以前は尖閣諸島への距離は約120kmでした。それが2014年の冬頃からずっと南下して尖閣諸島から約70kmのところまで近づいています。我が国の自衛隊の船は中国海軍の艦船と尖閣諸島の間に常駐して彼らが日本の海を侵犯しないように監視活動を続けているわけです。この監視と抑止の構えをしっかり維持し、強化することが大事です。

 中国はまた、日本との合意を無視して東シナ海で着々とガス田開発と称して16ものプラットホームを完成済みです。それらはいつでも軍事転用が可能です。東シナ海は南シナ海と同じ事態に陥る危険性があります。この「新しい現実」、それがもたらす危機の深刻さを日本人はしっかりと認識すべきだと思います。

 これまでは中国を刺激するという理由で避けてきたことも、今後は実行しなければならないでしょう。

※SAPIO2016年8月号

関連キーワード

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン