国内

全国トップ学力誇る塾のない村 「家庭学習」の習慣が定着

学力全国トップの村には宿題はない

 文部科学省が実施している「全国学力テスト」で、8年連続で1位となっているのが秋田県だ。さらに、その秋田県のなかでもたった2630人しか住んでいない東成瀬村は、県内トップクラスの学力を誇ることから、国内外から注目を集めている。その学力の秘密を知ろうと、日本全国だけでなく海外からも学校関係者が訪れているという。そこで、東成瀬村唯一の公立小学校である東成瀬小学校を取材した──。

 スーパーマーケットもなく、コンビニが1軒あるだけの東成瀬村には、民間の学習塾が存在しない。また、秋田県全体でも、塾に通っていない小学生は8割近くにのぼる。

 さらに2015年の家計調査によると、1世帯当たりが1か月にかける教育費は、秋田が4674円で全国最下位。全国トップの福岡は月2万169円かけているので、約4分の1だ。しかも、東成瀬小学校では基本的に宿題を出さないのだという。

 それなのに、いったいどうして8年もの間、全国トップクラスの学力を維持しているのか? その答えが「家庭学習」だ。その日の授業の復習をしたり、漢字の書き取りをしたり、好きな科目でテーマを見つけ、徹底的に調べたり…。とにかく家庭学習を毎日続けることが重要で、保護者にも徹底しているという。

「多くの子が復習に時間を割いているので、授業の定着度が高いんだと思います。また今日授業を見ていただいてわかったと思いますが、ここの子供は家庭学習で何を勉強してどれぐらいやるかっていうのは自分で決めています。自主的に自分のスケジュールを管理できています。ですから夏休みの計画も自分で決めることができるんです」(近藤幸一校長)

 決められたことを嫌々やる子供が多い「宿題」とは、全く似て非なるものだ。

 また東成瀬の子供に限らず、秋田の子供たちは、毎日決まった時間に就寝し、起床し、そして朝食を食べていると答えた割合がいずれも全国平均を大きく上回る。強制されることなく、自分自身を律しているのだ。

「そして多くの子供が自宅で復習をしています。わからないことは家族に聞くこともあり、より理解を深め、そうすることでますます勉強が楽しくなる。もっと頑張るようになります。自学ノートは保護者も目を通し、私たち教師も毎日コメントを書き込むので、そういったことで子供の向上心がさらに上がると考えています」(近藤校長)

◆“認められている”という気持ちになれるかどうかが、子供の満足度の決め手

 日本の子供は孤独で、自己評価が低く、将来に希望がないということがさまざまな調査で明らかになっているが、どうもこの村の小学校にはあてはまらないようだ。昭和大学医学部精神医学教室の岩波明教授が言う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン