* * *
「歯を削って銀歯を詰める、被せる」を繰り返す日本の虫歯治療が、歯の寿命を短くし、抜歯へとつながる「負の連鎖」を引き起こしていた──。

 本シリーズでは歯科業界の最大タブーが、日本人の口の7割に入っているといわれる銀歯であることを指摘してきた。

 銀歯治療では実際の虫歯部分のみならず健康な部分も大きく削る必要性がある上、二次カリエス(治療後の歯が再び虫歯になること)を予防する目的で、隣の歯と隣接する、やはり健康な部分まで削っていた。そうした銀歯治療の理論的根拠となる「予防拡大」という概念を、本連載では明らかにしてきた。

 一方、プラスチック系の白いコンポジットレジンは、歯を削る量を最小限に抑えることが可能だが、診療報酬が低いために普及が遅れた。そのことを東京医科歯科大・田上順次副学長の解説を中心に紹介した筆者の記事に西尾氏らからは反論の声があがった。

 西尾氏はこういう。

「銀歯が良くない、コンポジットレジン充填が良い、という話を大げさに書いている。私の経験では、レジン充填は耐久性が低い。

 また、レジン充填の時には6ミクロンの隙間が空くので、4ミクロンの大きさの虫歯菌が入り込んでしまうという報告もある(LSTR療法学会)。一方の銀歯はセメントで接着するので、隙間は2ミクロン。

 結局、これらは『説』なので、どちらが正しいとは一概に言えないはず」(筆者注・接着面の隙間については諸説ある)

 小林氏は素材だけの問題ではないと指摘する。

「治療に最適な金属は、金とプラチナですが、高額なために保険で使用されている銀歯には、様々な金属をまぜた合金が使われます。

 それでも、30年経って二次カリエスになっていない銀歯もありますし、すぐに破損するレジン治療のケースもあるのです。本当に重要なのは、すべての段階で丁寧に治療を行なうことであり、金属だからダメというのは疑問です」

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン