一方、銀歯の素材自体に問題がある、という指摘も少なくない。大月氏は「銀歯による『負の連鎖』は、臨床現場で実感しています」と率直に語った。
「田上副学長の論理はその通りだと思いますし、私も極力歯を削らないために、レジンを選択することが多いですよ。
金属アレルギーも無視できません。銀歯に含まれているパラジウムが最大の原因という研究もあるし、口の粘膜面と銀歯が接触することで感作(※注/一度抗原に触れたことで、同じ抗原の再刺激に反応しやすくなる状態)します。
保険診療で指定されている銀歯は、基本的に早くやめたほうがいいでしょう」
三好氏は、あるケースを例に挙げながら銀歯の問題点を説明した。
「歯の上面が狭くて、中で虫歯が広がっている形態パターンがよくあります。ここに銀歯を填めようとする場合、健康な歯まで大きく削らなければなりません。
小さな虫歯に合うような薄くて細い銀歯は、作ることも接着もできないので、ある程度のサイズまで歯を削って銀歯を入れている。しかし、レジンだと虫歯部分のみ除去して充填できる。
それに、私のクリニックでは、銀歯を外すと9割以上の確率で、中が虫歯になっています。最大の原因は、口中の温度変化で銀歯が膨張と収縮を繰り返し、接着セメントにヒビや隙間ができることです」
※週刊ポスト2016年8月19・26日号