スポーツ

前橋育英の怒らない監督 「ずっと甘いと言われてきた」

群馬大会決勝は延長12回の熱戦だった

 例年通り熱戦が繰り広げられている全国高等学校野球選手権。今年の群馬県代表は、2013年に夏の甲子園大会初出場で初優勝した前橋育英高校だ。とかく勝利至上主義に陥りがちな高校野球界で、2002年から同校の指揮をとる荒井直樹監督はスパルタ式のしごきとは無縁で知られている。荒井監督の著書『「当たり前」の積み重ねが、本物になる』の構成を担当したライターの田中夕子氏が、怒らない監督が夏の甲子園大会で目指すものについて聞いた。

 * * *
 初出場初優勝を成し遂げてから3年。二度目の甲子園出場を決めた前橋育英高校を初めて取材で訪れ、練習風景を撮影していたカメラマンが驚いた。

「ほんとに、全然怒らないんだね」

 高校まで野球部だったという撮影者は、全国大会に出場経験があるわけではない。だが、守備練習や走塁練習の合間、ミスが出ると「監督から怒鳴られるのは当たり前」だったと言う。だからこそ余計に、多少のミスが出ても、選手が委縮するどころか「おーい、どこまで飛ばしてんだ」と笑顔で選手の輪の中でノックを打つ、前橋育英の荒井直樹監督の姿が新鮮に見えた、と言う。

 今年で52歳になる荒井監督。指導時だけでなく、取材中も常に穏やかで、どんな話題も楽しそうに話す。

「この間、寮の部屋が汚い選手がいたから『今日は練習に来なくていいから、部屋をきれいにして出て行け』って言ったんですよ。そうしたら慌てて片づけて、見られちゃ困るような本まで出て来たから、『お前、これぐらい隠しておけよ』って言ったら、『あ、それは先輩にもらったんで』って真っ赤になって(笑)。高校球児じゃなくてね、幼稚園生と変わらないんですよ」

 当たり前のことは当たり前に。「凡事徹底」を座右の銘とし、キャッチボールは丁寧に、ミスの後こそ冷静にプレーする、自分勝手なプレーをするのではなく相手を思いやる、等々、譲れないこだわりはあり、それに反した時は当然、選手にも厳しく接する。野球だけでなく生活面も同様で、掃除や食事、挨拶など、ごくごく当たり前のことを当たり前に行う日常こそが大切だ、というのが荒井監督の考え方だ。

 選手との関係性も同様で、監督と選手。たまたま生まれたのが早かったから自分は指導をしているだけなのだから、偉そうにする必要はない、というのが荒井監督の持論。夏の大会を控えた時期には、さまざまな学校と練習試合を行う。

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
トルコ国籍で日本で育ったクルド人、ハスギュル・アッバス被告(SNSより)
【女子中学生と12歳少女に性的暴行】「俺の女もヤられた。あいつだけは許さない…」 執行猶予判決後に再び少女への性犯罪で逮捕・公判中のクルド人・ハスギュル・アッバス被告(21)の蛮行の数々
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン