続いて「その2」。天皇陛下は「摂政を置く」という予想される代案についても、問題点をやんわり指摘なさいました。表現はやわらかでしたが、その方法は望まないというお気持ちがはっきり感じられる毅然とした訴えでした。

 畏れながら会社生活に当てはめた場合も、「何日か休んだらどうだ」「担当する業務の内容を少し変えてみよう」など、根本的な解決にはならない代案を示される可能性は大いにあります。押し切られて望まない結論にならないように、示されそうないくつかの代案をあらかじめ予想し、それぞれの問題点をやんわり指摘しておきましょう。

 そして「その3」。11分にわたる天皇陛下の「お言葉」の締めくくりは「国民の理解を得られることを、切に願っています」でした。聞いた人の多くは、その決意の強さをひしひしと感じたことでしょう。そして、政治家など制度を考える立場にいる人の多くは、「どうにかして願いをかなえて差し上げたい」と思ったに違いありません。

 会社生活で希望を伝える場合も、「どうにかしてください」ではなく「どうかご理解ください」と訴えたいところ。「どうにかしてください」と言われたら、上司やリーダーは何とかなだめることをまず考えますが、理解を求められたら、自分を信用してくれた気になって「ひと肌脱ぐか」と思ってくれるでしょう。

 もし必要な場面になったら、ありがたさともったいなさを胸に刻みつつ、この3点を意識して自分の意志を表明してみてください。具体的に必要な場面はなさそうでも、今回の天皇陛下の「お言葉」から、自分の意志をしっかり示す大切さと美しさを感じ取ることで、人間としてひと回り成長させてもらうことができたはずです。

 天皇陛下は、真心がつまった「お言葉」を発してくださいました。どう受け止めてどうお応えするか、今度は受け止める側の真心や大人力が問われています。私たちは制度をどうこうすることはできませんが、政治家たちが天皇陛下の「お言葉」を妙な方向に利用しないように、しっかり見守っていきましょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン