続いて「その2」。天皇陛下は「摂政を置く」という予想される代案についても、問題点をやんわり指摘なさいました。表現はやわらかでしたが、その方法は望まないというお気持ちがはっきり感じられる毅然とした訴えでした。

 畏れながら会社生活に当てはめた場合も、「何日か休んだらどうだ」「担当する業務の内容を少し変えてみよう」など、根本的な解決にはならない代案を示される可能性は大いにあります。押し切られて望まない結論にならないように、示されそうないくつかの代案をあらかじめ予想し、それぞれの問題点をやんわり指摘しておきましょう。

 そして「その3」。11分にわたる天皇陛下の「お言葉」の締めくくりは「国民の理解を得られることを、切に願っています」でした。聞いた人の多くは、その決意の強さをひしひしと感じたことでしょう。そして、政治家など制度を考える立場にいる人の多くは、「どうにかして願いをかなえて差し上げたい」と思ったに違いありません。

 会社生活で希望を伝える場合も、「どうにかしてください」ではなく「どうかご理解ください」と訴えたいところ。「どうにかしてください」と言われたら、上司やリーダーは何とかなだめることをまず考えますが、理解を求められたら、自分を信用してくれた気になって「ひと肌脱ぐか」と思ってくれるでしょう。

 もし必要な場面になったら、ありがたさともったいなさを胸に刻みつつ、この3点を意識して自分の意志を表明してみてください。具体的に必要な場面はなさそうでも、今回の天皇陛下の「お言葉」から、自分の意志をしっかり示す大切さと美しさを感じ取ることで、人間としてひと回り成長させてもらうことができたはずです。

 天皇陛下は、真心がつまった「お言葉」を発してくださいました。どう受け止めてどうお応えするか、今度は受け止める側の真心や大人力が問われています。私たちは制度をどうこうすることはできませんが、政治家たちが天皇陛下の「お言葉」を妙な方向に利用しないように、しっかり見守っていきましょう。

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