ライフ

孤立している人の死亡率は男性で2.3倍、女性で2.8倍高い

ささいな習慣や小さな選択が寿命格差を生む(写真:アフロ)

 現在、日本人の平均寿命は男性79. 59歳、女性 86.35歳。この数字は戦後ずっと延び続けている。「人生100年時代」の到来も近いと言われる中、「長寿」と「短命」を分ける要素は何か。最新の研究成果から読み解く。

 従来、長寿には適度な運動、バランスのよい食生活、十分な休養などが必要とされた。だが最近の研究では、日常生活のささいな「習慣」や「選択」が寿命に関係することがわかってきた。

「老人会の役員」「地域の所得格差」「作り笑い」など、意外な要素が寿命格差を生むことがわかる。

 最近わかった長寿のためのキーワードは「つながり」だと指摘するのは、『友だちの数で寿命はきまる』(マガジンハウス刊)の著者で予防医学研究者の石川善樹氏(医学博士)だ。

「世界中の研究で長寿のため最も大切なのは、人との“つながり”だとわかってきました。孤独は喫煙と同等かそれ以上に健康を害するという研究もあります」(石川氏)

 実際、米国の研究で、婚姻状況、友人や親族との交流、ボランティアなど社会的ネットワークを持つ人と孤立している人の死亡率を比べると、孤立している人の死亡率は男性で2.3倍、女性で2.8倍高かった(*30~69歳の男女約7000人を対象に9年間追跡調査した結果の死亡率)。

 石川氏によれば、「つながり」が多い人ほど外出が増え、運動不足が解消されやすい。多くの友人と交流して楽しむことはストレス解消にもなり、脳の活動にもよい影響を与えるという。

 町内会、趣味のサークル、スポーツチームなど「つながり」を持てる組織は多い。石川氏は、家族以外で3つ以上のコミュニティに所属することを勧める。

「所属組織が3つ以上だと介護生活になりにくいというデータがあります。人とのつながりを作るのに必要なのは、“よく遊び、よく学び、よく働く”こと。結局、長い人生を魅力的に味わえる人ほど、健康で長生きできるんです」(石川氏)

※SAPIO2016年9月号

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン