ライフ

加納典明氏「猥褻の範囲を決めるなんてナンセンスだ」

写真家・加納典明氏

 その男は、「ヌードは芸術ではない」と言い切る。加納典明、御年74歳。これまで数多の過激写真で当局の神経を逆撫でし、1995年には逮捕されたこともある。それでも、女性の裸体を撮り続ける理由とは──。

 * * *
 女性のヌードは反権力だ。ヌードすることによって反権力になる。人間なんて綺麗なだけの生き物じゃないだろう。綺麗事なんてクソ食らえ。だから俺はみんなが口にするのを憚る“劣情”をわざと突き付けてやる。パンティが食い込んだケツを見せてやるんだ。俺の写真は芸術なんかじゃなく、社会に向かって投げる160kmの豪速球だ。アジテーション、つまり社会にケンカを売ってるんだな。

 俺はこう言い続けてきた。「お前たち、勃起しろ。ついでに精神も勃起しろ」と。そうすれば何か起こるだろうと思っている。

 女の裸ほど直球のボールはない。女性の裸というのは、被写体としては一番わかりやすくて一番インパクトがあるんだよ。だから「これ、いいのかな」と思わせるくらいのものじゃないと意味が無い。「キレイだな」じゃしょうがない。

 だから俺はモデルや女優ではなく、素人に近い女性を撮りたい。危険でいやらしく、普通の若い女を撮りたいんだ。性とは、清濁併せ持つ人間の汚い部分を突き付けるものだ。非常に根源的で、恐ろしく多様性を秘めた猥褻というものこそ、一番人間らしい。

 その猥褻の範囲を決める、線を引くための基準を設けるなんて、ナンセンスもいいところだね。ご存知の通り、俺は1995年に写真集『ザ・テンメイ総集編きクぜ!』で逮捕されている。

 掲載された写真が猥褻だっていうんだよ。12日間勾留され、検察ともさんざん話したが、じゃあそちらの言う猥褻って何ですかって聞いたって答えなんて出やしない。まったく議論にもならないんだよ。最後は女性器の絵にマーカーで楕円描いて、この中には入るなと。結局、御上意識なんだよ。

関連記事

トピックス

姜卓君被告(本人SNSより)。右は現在の靖国神社
《靖国神社にトイレの落書き》日本在住の中国人被告(29)は「処理水放出が許せなかった」と動機語るも…共犯者と「海鮮居酒屋で前夜祭」の“矛盾”
NEWSポストセブン
公選法違反で逮捕された田淵容疑者(左)。右は女性スタッフ
「猫耳のカチューシャはマストで」「ガンガンバズらせようよ」選挙法違反で逮捕の医師らが女性スタッフの前でノリノリで行なっていた“奇行”の数々 「クリニックの前に警察がいる」と慌てふためいて…【半ケツビラ配り】
NEWSポストセブン
「ホワイトハウス表敬訪問」問題で悩まされる大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平を悩ます、優勝チームの「ホワイトハウス表敬訪問」問題 トランプ氏と対面となれば辞退する同僚が続出か 外交問題に発展する最悪シナリオも
女性セブン
2025年にはデビュー40周年を控える磯野貴理子
《1円玉の小銭持ち歩く磯野貴理子》24歳年下元夫と暮らした「愛の巣」に今もこだわる理由、還暦直前に超高級マンションのローンを完済「いまは仕事もマイペースで幸せです」
NEWSポストセブン
ボランティア女性の服装について話した田淵氏(左、右は女性のXより引用)
《“半ケツビラ配り”で話題》「いればいるほど得だからね~」選挙運動員に時給1500円約束 公職選挙法で逮捕された医師らが若い女性スタッフに行なっていた“呆れた指導”
NEWSポストセブン
傷害致死容疑などで逮捕された川村葉音容疑者(20)、八木原亜麻容疑者(20)、(インスタグラムより)
【北海道大学生殺害】交際相手の女子大生を知る人物は「周りの人がいなかったらここまでなってない…」“みんなから尊敬されていた”被害者を悼む声
NEWSポストセブン
医療機関から出てくるNumber_iの平野紫耀と神宮寺勇太
《走り続けた再デビューの1年》Number_i、仕事の間隙を縫って3人揃って医療機関へメンテナンス 徹底した体調管理のもと大忙しの年末へ
女性セブン
チャンネル登録者数が200万人の人気YouTuber【素潜り漁師】マサル
《チャンネル登録者数200万人》YouTuber素潜り漁師マサル、暴行事件受けて知人女性とトラブル「実名と写真を公開」「反社とのつながりを喧伝」
NEWSポストセブン
白鵬(右)の引退試合にも登場した甥のムンフイデレ(時事通信フォト)
元横綱・白鵬の宮城野親方 弟子のいじめ問題での部屋閉鎖が長引き“期待の甥っ子”ら新弟子候補たちは入門できず宙ぶらりん状態
週刊ポスト
大谷(時事通信フォト)のシーズンを支え続けた真美子夫人(AFLO)
《真美子さんのサポートも》大谷翔平の新通訳候補に急浮上した“新たな日本人女性”の存在「子育て経験」「犬」「バスケ」の共通点
NEWSポストセブン
自身のInstagramで離婚を発表した菊川怜
《離婚で好感度ダウンは過去のこと》資産400億円実業家と離婚の菊川怜もバラエティーで脚光浴びるのは確実か ママタレが離婚後も活躍する条件は「経済力と学歴」 
NEWSポストセブン
被告人質問を受けた須藤被告
《タワマンに引越し、ハーレーダビッドソンを購入》須藤早貴被告が“7000万円の役員報酬”で送った浪費生活【紀州のドン・ファン公判】
NEWSポストセブン