ライフ

臨死体験のある科学者「死んだら無、死後の世界はない」

死後の世界は存在するのか

 人類にとって「あの世」は常に興味・関心の的であり、宗教も、科学も、その問いに答えを出そうとしてきた。

 科学の視点でいえば、そもそも「生」と「死」の境目は、はっきり断定できないところもある。数多くの臨終に接してきた、東邦大学医療センター大森病院の医師・大津秀一氏がいう。

「便宜的に心停止、呼吸停止、瞳孔散大をひとつの区切りとしていますが、生物が心停止した後でも脳波の変化はありますし、全ての細胞が死んでいるわけではなく、生きている部分もある。どう捉えるかは実は非常に難しいところなんです」

 その上で大津氏は、臨死体験者が見た「あの世」についてこう考える。

「最近ではラットの実験で、亡くなった後の数十秒間は脳波の活動が活発になるといわれていて、臨死体験に関係している可能性があると話題になっています。最後にぬくもりを見せてくれる脳の働きが観測されているのかもしれません」

『霊はあるか』(講談社)の著者で、自らも臨死体験がある立命館大学名誉教授の安斎育郎氏は「科学者の立場」という前提でこう話す。

「死んだら無に帰す。例えば体重の18%を占める炭素原子は、死んで焼き場で焼かれれば二酸化炭素となって飛び散っていく。科学的にはそれだけです。残念ながら、死後の世界はない。でも、それを思い描くのは人間の自由です」

 100年以上も前に遡るが、アメリカ・マサチューセッツ州の医師・ダンカン・マクドゥーガル博士は人が死ぬ瞬間の体重を計測し続け、死ぬと体重が21グラム減ることを発見した。そしてそれが「魂の重さ」だと結論づけたのだ。この説は現代科学では否定されているが、『21グラム』は2003年公開の心臓移植をめぐる映画のタイトルにもなった。

 それはつまり人間の魂や「あの世」への関心は科学的な知見の発展とは別のところで存在し続けていることを意味する。「あの世」がどんなものかを考えることが一人ひとりの「この世」に与える影響は決して小さくないのだ。

※週刊ポスト2016年9月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
《訃報》「生きづらさ感じる人に寄り添う」遠野なぎこさんが逝去、フリー転向で語っていた“病のリアルを伝えたい”真摯な思い
NEWSポストセブン
なぜ蓮舫氏は東京から再出馬しなかったのか
蓮舫氏の参院選「比例」出馬の背景に“女の戦い”か 東京選挙区・立民の塩村文夏氏は「お世話になっている。蓮舫さんに返ってきてほしい」
NEWSポストセブン
泉房穂氏(左)が「潜水艦作戦」をするのは立花孝志候補を避けるため?
参院選・泉房穂氏が異例の「潜水艦作戦」 NHK党・立花孝志氏の批判かわす狙い? 陣営スタッフは「違います」と回答「予定は事務所も完全に把握していない」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《真美子さんの艶やかな黒髪》レッドカーペット直前にヘアサロンで見せていた「モデルとしての表情」鏡を真剣に見つめて…【大谷翔平と手を繋いで登壇】
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と浜辺美波のアツアツデート現場》「安く見積もっても5万円」「食べログ予約もできる」高級鉄板焼き屋で“丸ごと貸し切りディナー”
NEWSポストセブン
誕生日を迎えた大谷翔平と子連れ観戦する真美子夫人(写真左/AFLO、写真右/時事通信フォト)
《家族の応援が何よりのプレゼント》大谷翔平のバースデー登板を真美子夫人が子連れ観戦、試合後は即帰宅せず球場で家族水入らずの時間を満喫
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落の原因は》「なぜスイッチをオフにした?」調査報告書で明かされた事故直前の“パイロットの会話”と機長が抱えていた“精神衛生上の問題”【260名が死亡】
NEWSポストセブン
亡くなった三浦春馬さんと「みたままつり」の提灯
《三浦春馬が今年も靖国に》『永遠の0』から続く縁…“春友”が灯す数多くの提灯と広がる思い「生きた証を風化させない」
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《タクシーで自宅マンションへ》永瀬廉と浜辺美波“ノーマスク”で見えた信頼感「追いかけたい」「知性を感じたい」…合致する恋愛観
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン