社会学者・橋爪大三郎氏
とかく陰謀論とともに語られることの多いフリーメイソン。「秘密結社」と言われるフリーメイソンの造詣の深い社会学者・橋爪大三郎氏がその謎に迫る。
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現代でフリーメイソンに似ている組織は、共産党です。共産党も世界組織で、反権力で、理性主義で、ヒエラルキーがあって、秘密結社。個人の意志で自発的に加入する。
違う点は、儀式の有無。共産党には儀式があまりなくて、代わりに理論がある。ブルジョア文化を脱ぎ捨て、階級意識で武装しなければならない。教会を敵視し、二重帰属を認めないので、共産党はすべての組織の上に立つ。フリーメイソンより徹底した献身を求めることになります。
フリーメイソンの儀式は秘密で、個人の自尊心を傷つけるイニシエーション(加入儀礼)が大事。カトリックの教義やプロテスタントの信条を優先するなら耐えられない儀式です。それを潜り抜け、秘密を共有することで、組織への忠誠と一体感を形成する。まあ、体育会系に近い。
※SAPIO2016年10月号