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昭和レトロの空気を味わえる東京・東向島の角打ち

入口を入って左側の角打ちスペースでは、客の笑顔が絶えない

「当時はモダン、今レトロ」。そんな言葉がよく似合う『志賀酒店』があるのは、隅田川と荒川に挟まれた墨田区北部の東向島。しばらく国道6号線・水戸街道と並行して走り、やがて合流する曳舟川通り沿いという下町真っ只中だ。

 屋号が書かれた、やや派手めなブルーのテント看板と自販機が入口に並ぶ店構えからは、「ここが昭和5年創業の老舗酒屋で、その店内では毎日角打ちが楽しまれている」といった匂いをかぎ分けるのはちょっと難しいかもしれない。

 だが、一歩足を踏み入れると、そこには“モダンとレトロがタイムトリップした世界”が広がっているのだ。

 雑然としてはいるが、お酒が心地よさげに並んだ店内。左側には、5~6人が並べるカウンターが、流しを覆うようにして設えられている。

「昭和44年に今の店に建て替えてからはそのまんま。だから、自慢というわけではないですが、このカウンターをはじめ、昭和の味はたくさん残っていますよ」と、3代目主人の志賀久蔵(きゅうぞう)さん(83歳)と、石川県能登生まれで、23歳の時にお嫁に来たという喜美江さん。

 ショーケース型冷蔵庫の脇に、ドーンと存在感を示しているのは、大人の背丈ほどある昭和30年代製の超大型電気冷蔵庫。全体が白いタイル貼りでプルハンドル式の取っ手がいくつもついたものだ。

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