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品川新駅「新国立と同じ隈研吾デザイン」でコストへの懸念

品川新駅への不安(JR東日本・プレスリリースより)

 40年ぶりのJR山手線の新駅「品川新駅」がベールを脱いだ。デザインを担当するのは新国立競技場と同じ隈研吾氏。折り紙をモチーフとした大屋根に障子をイメージした膜をあしらい、隈氏が得意とする木材を使った暖かみのある設計となりそうだ。

 しかしネット上ではこの計画に早速「またデザイン優先で費用がかさみそう」と心配の声が上がっている。

 JR東日本は「まだ契約前のため、費用についてはお答えできない」(広報部)というが、交通システムのコンサルティングを手がける「ライトレール」の阿部等社長は「デザインやバリアフリーを充実させるために、工事費は100億円を超えるだろう」という。広島カープの本拠地・マツダスタジアムの建築費は110億円だから、その規模の大きさがうかがえる。

 コストを押し上げているのが木材だろう。折り曲げるなどの加工が金属や樹脂と比べて難しいだけでなく、湿気に強く耐久性のあるヒノキなどの高級材を使えばそれだけ高くつく。

 さらに木材はメンテナンスが難しく、莫大な維持費もかかる。新国立では観客席(6万8000席)の椅子に木材を使用した場合、「50年間の維持費は数百億円」(内閣官房・整備計画再検討推進室)というトンデモナイ試算が出ている。

 実際、過去の隈氏の作品を見れば木材を基調とした建築のメンテナンスの難しさがわかる。2013年12月にオープンした台湾スイーツ店「サニーヒルズ」(東京・南青山)は無数のヒノキの角材で四方が覆われているが、日光によって木の表面が白く変色したため、開店から2年半で再塗装を施した。

 2020年の暫定開業に向けて動き出した「品川新駅」。お節介ながらも、新国立のように「想定外の総工費」が後から出てこないことを祈るばかりです。

※週刊ポスト2016年10月7日号

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