現在、港区内では新橋駅前SL広場やお台場海浜公園内など屋外31か所、前出した新橋NH(日本ヒューム)ビルや虎ノ門2丁目タワーなど屋内5か所の指定喫煙場所が設置されている。今後も喫煙ニーズの高い駅周辺エリアを中心に、事業所ビルやコンビニ店内の喫煙スペース設置など協力要請を続け、助成も積極的に行っていく予定だという。

 また、民間の喫煙所も含めた区内の喫煙所マップを作成したり、スマホのアプリを使って喫煙場所情報を広く知らせる活動にも力を入れる。

 非喫煙者の区民からは「喫煙者に甘い。他の区のようにルールを守らない喫煙者には罰金を科すべき」との声も挙がっているというが、そうした強硬姿勢には慎重だ。

「今まで地域の皆さんと一緒に取り組んできた『みなとタバコルール』は一定の成果が出ています。また、喫煙者自身の基本マナーの水準も上がっており、かつてのように“たばこは靴の裏で消すものだ”という意識もだいぶ薄れてきました。

 確かに『罰則こそ抑止力のすべてではないか』というご意見もいただきますが、地域ぐるみで環境美化のキャンペーンやクリーン活動を続けてきた経緯も考えますと、罰をもって制するのは港区の理念には合致しません」(前出・駒井氏)

 これまで、東京都や厚生労働省も飲食店や宿泊施設などを対象に、喫煙所設置の助成制度を設けてきたが、それらはあくまでも事業者向けの制度だったといえる。就労者や地域住民の利便性、生活環境を第一に考えた“港モデル”の取り組みこそが、真の分煙環境整備につながるのではないか。

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