スキャンダルが次々に飛び出す“初の女性大統領候補”と、それを批判する“暴言王”。2人は、政策で戦っているのではない。低レベルなバッシング合戦を繰り広げているだけなのだ。
見識あるアメリカ人の友人は、「トランプとヒラリー、どちらにも投票したくないという人が多い」と語っている。「3億人以上も人口がいて、あの2人しか人材がいないのか」と嘆くアメリカ国民もいる。
しかし、それが現実なのだ。『そして、アメリカは消える』で書いた通り、あの国の劣化は極限まで来てしまった。「どちらにも投票したくない」という声はもっともである。だが、現実的にはどちらかが大統領になる。そして待っているのはアメリカの崩壊である。
アメリカをここまで劣化させた一人が、オバマだ。8年前のちょうどこの時期、アメリカはオバマの「CHANGE」「YES, WE CAN」というキーワードで沸いていた。アメリカの人々はオバマに期待を抱き、大統領に担ぎ出した。
その後の8年間でアメリカと世界はどうなったか。借金は莫大に増え、大量の不法移民が社会に入り込み、中産階級が大幅に減って格差が拡大した。株価が上がって景気がよくなったというが、それはウォールストリートだけの話だ。
一般庶民の生活は、確実に8年前より苦しくなった。またオバマは「人種差別をなくす」と言っていたはずだが、逆に白人警官が黒人を射殺し、怒った黒人たちが白人警官を殺害するなど、差別問題はより深刻になっている。