ライフ

カリスマ書店員のマイ流行語大賞は「いちいちうるせえ」

カリスマ書店員・新井見枝香さんも佐藤愛子氏の新刊を絶賛

 本記事の校了寸前、またまた増刷決定のめでたいニュースが飛び込んできた。累計20万部──『九十歳。何がめでたい』(小学館)は、御年92才、もはや満身創痍の佐藤愛子さんが、ヘトヘトになりながらも怒りをふりしぼって綴った痛快エッセイ集。読者からは「気持ちがスッキリした」「私が言いたいことを愛子センセイが言ってくれた」「親の気持ちがわかった」などなど、共感の声が続々と寄せられている。

 10月1日に放映された『王様のブランチ』(TBS系)でも、2週続けてベストセラーランキング2位にランクイン(三省堂書店池袋本店・文芸書ランキング)。その池袋本店で文芸書などを担当する新井見枝香さん(36才)はこう語る。

「『佐藤愛子さんの本』というかたはもちろんですが、『九十歳の本を探しているんですが』と仰って来られるかたがとても多いです。覚えやすいタイトルもいいんでしょうね。佐藤さんと同世代のかたや少し下のかたも多いですが、若いかたも購入されていきます。ベストセラーになる本は、どれも世代を超えて読まれていくものですが、この本もまさにそうで、私は145万部を突破している伊集院静さんの『大人の流儀』シリーズが最初に発売された時の勢いと重なりました」

 新井さんは「彼女がプッシュした作品はヒットする」といわれるカリスマ書店員として知られ、「新井ナイト」など、数々のイベントを主催している。その新井さんは先日、店頭でこんな光景を目にした。

「50~60代の人が何人かでいらっしゃって、『ほら、これよ、これ! これが面白かったの』とこの本を手にとって友達に薦めていらっしゃって。自分が持っている本を貸したっていいわけですが、やはり手許に置いておきたいと思われるんでしょうね。人に薦めたくなる本だと思います」

 新井さん自身、発売からしばらくした頃、ツイッター(三省堂書店池袋本店)で、こんなことを呟いた。
《エッセイ集『九十歳。何がめでたい』すっごくおもしろいよー! 字も大きめ!》
《佐藤愛子さんの「いちいちうるせえな」が最高でした! マイ流行語大賞!》

 新井さんに改めて本書の感想を聞いてみたところ──。

「みんな思っていてもなかなか言えないことを佐藤さんは言いたい放題言っています。エッセイの場合、やっぱり年を重ねた人であるからこそ書ける幅の広さと深みがあると思うんです。これまで90才という年齢は私の年齢ではなかなか想像がつかない境地でしたが、92才で佐藤さんが感じている感覚は私にもよくわかる。90才というのは意外と地続きなんだと思いました。

『いちいちうるせえな』という言葉もそうで、いろいろ受け止め方はあるでしょうが、佐藤さんはとても前向き。私もツイッターをやっているので、窮屈さを感じることは多いですが、『いちいちうるせえな』と口にすることで、よし、やるかと。言ったことで前に進めるんですね。佐藤さんの言葉はそういう窮屈な世の中の流れを変える第一歩になると思います。いまだ今年のマイ流行語大賞です(笑い)」

※女性セブン2016年10月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
(写真/アフロ)
《155億円はどこに》ルーブル美術館強盗事件、侵入から逃走まで7分間の「驚きの手口」 盗まれた品は「二度と表世界には戻ってこない」、蒐集家が発注の可能性も 
女性セブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
ミントグリーンのワンピースをお召しになった佳子さま(写真はブラジル訪問時。時事通信フォト)
《ふっくらした“ふんわり服”に》秋篠宮家・佳子さまが2度目の滋賀訪問で表現した“自分らしい胸元スッキリアレンジ”、スタイリストが解説
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン