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なぜ故障が少ない? 駅伝王者青学大を支える靴職人を直撃

青学大の「足下」を支える三村仁司氏

 昨年、コアな箱根駅伝ファンの間で話題沸騰となった、ウェブメディア「駅伝ニュース」の面々による“詳しすぎるレポート”が、今シーズンも週刊ポストに帰ってきた! 主宰者である「博士」こと西本武司氏と相棒の「マニアさん」が、全国のレース現場を手弁当で回って得た見どころ情報を一挙公開。王者・青山学院大学はなぜ故障が少ないのか。その答えを知るため、スタッフは関西へ飛んだ──。

 * * *
「これは昨夏、青学大が妙高高原(新潟県)で行なった選抜合宿の時に取った部員の足形ですわ」

 3年エース下田裕太の足形を前にそう語るのは兵庫県高砂市のシューズ工房「ミムラボ」の三村仁司氏(68)だ。「青学大の強みである“故障の少なさ”の秘密を教えてください!」──そう請うてマニアさんと私は、キーマン・三村氏を訪ねた。

 三村氏はオニツカ(現・アシックス)入社後の1974年から、アスリート向けの別注シューズを長年にわたり製作してきた。三村氏の靴を履いた高橋尚子や野口みずきが五輪で金メダルを獲得した逸話は陸上ファンには知られている。その三村氏は定年退職後に独立して工房を立ち上げ、2010年にアディダスと専属契約を交わす。

「同じアディダスと契約した青学大に呼ばれたのは3年前。翌年の夏合宿で足形に加えて甲の高さや形状を計測すると、みんな足首が柔らか過ぎることがわかった」

 三村氏は、選手によって異なる「故障しやすい部位」「フォームの癖」を見極め、その選手向けの“真っ直ぐ蹴れる靴”を仕立てる。

「靴だけで補えない選手にはテーピングの貼り方を教え、左右のバランスが悪い選手には弱いほうを強化する筋トレ指導です。青学大のメンバーには、“やれば1区間で1分、10人で10分以上タイムは速くなる。やる、やらんはお前ら次第や”といいました」

 そうして2度の優勝に貢献。昨季は、「新・山の神」こと神野大地(現コニカミノルタ)が両足を疲労骨折したが、克服の舞台裏にも三村氏の助言があったという。

「神野は右が柔らか過ぎた。だから、右足首を強くする片足スクワットを1日200回、加えて土踏まずのアーチが低いから青竹踏みを1日3回やれといった。神野はそれを真面目にやる選手やったね」

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