国内

橋本大二郎氏 成人式で若者一喝は「気骨あり」の評価上昇

橋本大二郎・前高知県知事

 かつて荒れる成人式で若者を一喝し話題となった橋本大二郎・前高知県知事は「子供の心を育てる教師にこそスパルタ教育が必要」と説く。

 * * *
 15年前の「事件」のことは今でも話題になります。

 高知県知事時代の2001年、高知市の成人式で体育館の2階にいたグループが僕を名指しして、「(話が)長いぞ」「帰れ」などとヤジった。思わずカッとして、「静かにしろ! 出ていけ!」と怒鳴ってしまった(苦笑)。

 反響は大きく、多くの人から「よくぞ言ってくれた」と喝采されました。みなさん、成人式で暴れる若者が疎ましかったけど、厳しく注意できなかったんです。

 元々、僕はリベラルなイメージでしたが、あの一件で「気骨がある」と評価が高まりました。今も、若者には配慮や迎合だけでなく、厳しく接するスパルタ教育が必要だと思っています。

 だけど最近は、若者をいきなり怒鳴ると、何をされるかわからない怖さがあります。急にキレて殴りかかってくるかもしれません。

 昔は家庭や地域がしっかり情操教育をしたけれど、今は家庭も地域も崩壊している。道徳観の育っていない若者や子供を厳しく指導しても反発されるだけです。まず必要なのは、「人としての大切な基本」をきっちりと教えることです。

 僕が幼かった頃、衆議院議員だった父(橋本龍伍)が留守をした時、公用車の運転手が「ちょっと走りましょうか」と言って、僕と兄・龍太郎を車に乗せてドライブしました。帰宅した父は「子供が公用車を使うとは何事だ」と激怒して、兄の頬を張った。僕は小さかったので叩かれなかったけど、子供心に「悪いことをした」と反省したことを覚えています。

 そういう生の体験を経て、子供は道徳観を身につけます。家庭や地域が力を失った現在、それを教える場は学校しかありません。

 ただし、今の教師にその能力があるか疑問です。だからまず、基本的な道徳や共感力を子供に教えられる教師を養成することが大切です。子供の心が育っていないのに厳しく指導しても、逆効果になるだけです。

 まずは教師にこそ、スパルタ教育が必要なのかもしれません。

●取材・構成/池田道大

※SAPIO2016年11月号

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン