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卵子凍結の出産率は採卵時30才で11.3%

プリンセスバンク代表の香川則子さん


「若いうちに卵子を採取しておけば、妊娠できる可能性は高いのですが、高齢出産には、切迫早産や切迫流産、妊娠合併症などさまざまなリスクが加わります。それは卵子を凍結しようが全く変わりません。医師の側はそれをしっかりと説明すべきですし、卵子凍結を希望されるかたにも、充分に理解してからやってほしいと思います」

 そもそも、卵子の採取の際に体にかかる負担も決して小さくない。

「1度の採卵でできるだけ多くの卵子が取れるよう、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激します。これは卵巣内の卵胞、つまり卵子の家を育てることになるので、卵巣が腫れてしまい、卵巣過剰刺激症候群を引き起こすことがあります。

 採卵した日はお腹が痛くなったり、なかには1週間ぐらいお腹が張ったり、歩くと響いたりという症状が出ることもあります。また、採卵には細長い針を使うのですが、それが誤って腸や血管に刺さった場合には大出血を引き起こします」(前出・船曳さん)

 凍結卵子の保管業務のほか、セミナーやカウンセリングも行うプリンセスバンク代表の香川則子さんも、相談に訪れる人に対して「卵子凍結をしたほうがいいとは言っていません」と言う。

「卵子凍結をしなくても妊娠を望める環境にあるかたには、そちらをお薦めしています。卵子凍結はあくまで“最後の一手”です。将来に備えて卵子を採取して凍結させたことで精神的に余裕が生まれ、自然妊娠に至ったというケースが増えればと思っています」

 手放しで奨められるものでない…。そういった声は、凍結卵子で出産に至った女性の中からも聞こえてくる。前出の丸岡さんが、卵子凍結で出産した先の女性に取材したときのことを振り返る。

「彼女は医師からも高齢出産のリスクについて説明を受け、流産するのではないかという恐怖におびえながら10か月を過ごしました。インタビューで彼女は“卵子凍結には、諸手を上げて賛成はできない”と言っていました。卵子凍結で出産した女性がそう発言することに、たいへん驚きました」

 卵子凍結による出産…成功の裏にもまた、あまり語られてこなかった厳しい現実も潜んでいるのだ。

※女性セブン2016年11月10日号

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