キャスター付きバックパックには、向井さんが最近、愛用している容量30リットル(荷物をつめると10キロに満たないくらい)の小型なものから、長旅にも対応できる50リットルなどの大容量もある。様々な旅に対応できる大きさがそろっているので、日本を旅するバックパッカーにもキャスター付きを選ぶ人は増えている。
今夏、関西地方のゲストハウスめぐりをした向井さんは、キャスターつきのバックパックを利用している人が多いことに驚いた。特にヨーロッパやカナダからの若い旅行者に利用率が高かった。彼らのカバンがキャスター付きになったのは、10年前と比べて電子機器類が増え、重くなっていることも影響している。
「バックパッカーの荷物は減っていますが、重量は増えています。本を何冊も持ち歩く人はいなくなりましたが、スマホやPC、ケーブルや充電池が荷物に加わったからです。女性やアラフォーに差し掛かった人にとって、重いバックパックは体への負担が大きい。でもキャリー付きバックパックを利用すれば、若い男性と一緒の旅でも体力差をカバーしてくれるので、旅をより楽しめるようになると思います」(前出・向井さん)
いま、学生が選ぶ通学カバンはリュックタイプのものが多い。リュックサックの色やデザインが豊富になって選べるようになっただけでなく、電子辞書やPCなど、必要な荷物が重くなっていることも影響しているだろう。彼らが旅に出るときには、スーツケースではなくキャリー付きバックパックが常識となるのはそう遠くないことになりそうだ。