日本が世界トップの長寿国なのは、主な死亡原因とされる心臓病(心筋梗塞)が諸外国に比べて少ないのも一因である。
心筋梗塞の原因はコレステロールだが、日本人のコレステロール値は諸外国の平均を下回っている。なぜ低いのかというと、米を主食にしていたからだと考えられる。米は脂肪が少ないながらもカロリーが摂れるのだ。さらなる理由を武庫川女子大学国際健康開発研究所の家森幸男所長が語る。
「日本人は魚をたくさん食べる。魚にはタウリンが多く含まれていて、高血圧や動脈硬化の予防になるとされています。また、魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)も含まれており、これは血液をサラサラにする効果もあります。これにより、動脈硬化になりにくかったということです」
DHAとEPAは人間にとって必須の不飽和脂肪酸で、血液や血管を健康に保つ効果があるとされている。
かつてご長寿の双子姉妹としてテレビ番組やCMに引っ張りだこになった「きんさん、ぎんさん」の好物も、「魚」だったという。
「特に魚は、内臓や頭も丸ごと食べてほしい。そのほうが必要な栄養素が摂れます。難しいと思う人には、一匹丸ごと食べられるジャコがお勧めです」(家森氏)
魚は脳卒中の予防にも効果的だが、大豆を食べていればさらに予防効果は高まる。
「血管(動脈)は、内膜・中膜・外膜の三層になっていますが、大豆に含まれるイソフラボンは内膜の内皮細胞に対して一酸化窒素の生成を促して血管を拡張させ、血液の流れをスムーズにさせるため、脳卒中を予防するのです。
ただし、イソフラボンの摂取のために大豆を食べるなら、豆腐や豆乳よりも、大豆を丸ごと食べることができる納豆のほうがいい。その時に、醤油をかけすぎると塩分過多になるので注意が必要です」(前出・家森氏)
※週刊ポスト2016年11月11日号