橋下徹氏が音頭を取った「維新政治塾」からは多くの議員が生まれ、一時は議席数を伸ばした。しかし、体調不良を理由に衆議院本会議を欠席しておいて知人男性と旅行に出かけていた上西小百合議員をはじめ、その政治手腕には大きな疑問符がつき、結局、党は分裂に至った。もし小池塾から多くの都議候補者を出したら、その二の舞を演じる可能性が高い。前出の小池側近はこう語る。

「小池塾は、あくまで都議会への牽制だ。都議選前に、現職都議には『都政改革に賛成するか否か』の踏み絵を踏んでもらうことになる。“改革に反対するなら、刺客はいつでも立てられる”というメッセージだ。『小池新党』という言葉ばかりが躍っているが、素人都議を量産するつもりはない」

 肝要なのは、本当の都政改革が進められるかどうかだ。現役都議とバトルして全員辞めさせることではない。

 東京都は、オリンピックや豊洲新市場だけではなく、都市整備、環境、福祉・保健、港湾、水道、災害対策など目立たなくとも重要な役割が数多くある。

 知事は条例・予算提出権や議会解散権、行政執行権など多くの権限を持ち、特に東京都知事は1000万人の有権者の手で直接選ばれることから「首相より強い権力を握っている」と評されることもある(都知事の権限と役割については佐々木信夫・中央大学教授著『都知事』に詳しい)。

 そうした強大な権限と多岐にわたる役割の中で、政策決定プロセスの何が変化し、都民・国民にとってどんなメリットが生まれるのか。有権者が注目すべきはその一点である。

 我々が“悪者を討つヒロイン”ばかり期待していては、都知事も「バトルの演出」ばかりに固執することになるだろう。それは、都民にとっては結果として不利益をもたらすのではないか。

※SAPIO2016年12月号

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