入社してからも悩みは尽きない。少しずつ体力が戻り、これまでのように働けるようになった。うれしいことのはずなのに、精神的なプレッシャーを感じてしまった。

「契約社員で入った会社で、“ここでがんばれば正社員になれる”という話があって、残業がきつかったけど、きちんとやらなくちゃという気持ちがありました。でも一方で、こんなにがんばっていたら、また病気になってしまうんじゃないかと。無理な働き方はしたくないと思うけれど、それだと、お給料もよくない仕事になってしまう。もし再発したらまたお金も必要になるし…結局そんなことを考えていたら、うつっぽくなり、その仕事は辞めてしまいました」

 松山さんのように、がんに罹患後正社員として再就職し働くことは、かなりハードルが高い。藤田さんが説明する。

「ミドル世代の人が、一度辞めてしまって再就職するのは、本当に難しい。ですから、続けられるのであれば、勤めている会社にとどまるのがいちばんです。しかし会社側が、『ちゃんとこれまで通りに働いてもらわないと…』と圧力をかけてくる場合もあります。

 また、患者自身もこれまで通り働けないことを申し訳ないと思ったり、『私を辞めさせようとしているのでは』と疑心暗鬼になったりして自分から身を引いて、病気がわかってすぐ辞めることを選択しようとする人も多いです。でも、すぐに辞めないで、誰かに相談するなど、問題解決の対策を考えるようにしてほしい。辞めるのはその後からでもできるのですから」

※女性セブン2016年11月17日号

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