天然真珠のような輝きを放ちながらも“とにかく軽い!”と話題の「バルサパール」。考案した「オーヤ・カズカンパニー」(東京都台東区)代表の大矢忠成さんは、開発の経緯をこう語る。
「約10年前から人気のコットンパールは型に合わせて綿を圧縮するので、ほぼ真球なのですが、より軽い素材で、不ぞろいな形が魅力のバロック調のものが作れないかと思って」
和紙を素材に試みたが、丸く形作ることはできても、乾燥すると割れてしまう。次に発泡スチロールで挑戦するが、真珠層の塗料を重ねても亀甲マークが浮き出てくる。悩みに悩んでいた頃、同社の職人がプラモデル好きの息子から、「模型に使うバルサ材を使ってみれば」と言われたのが、バルサパール誕生のきっかけとなった。
バルサ材は、サーフボードの材料としても使われており、強度は高いが木材の中では最も軽く、カッターで切れるほどやわらかくて加工しやすい。
「課題は、やわらかすぎて機械で加工しにくいため、いかにして丸くするかでした。また、空気をたっぷり含む多孔質性で、ただ塗料をかけても染み込んでしまい、パールには見えません。そこで独自開発した薬剤で表面をコーティングし、通常よりも濃い真珠層塗料を7回かけています。内側から輝くようなパールに仕上げるのは機械では無理。すべて手作業です」(大矢さん)
バルサパール加工は、愛媛県新居浜市で行われているが、その過程は以下の通り。
【1】棒状のバルサ材を用意する。
【2】直径とほぼ同じ長さでカットし、チップを作る。
【3】 【2】のチップに穴をあけた後、数種のサンドペーパーで磨きをかけて球状にしてサイズを合わせ、ワイヤーでつなげる。
【4】表面コーティングを施した後、職人の手で真珠層塗料にくぐらせること7回。美しく輝くパールが完成。
2014年秋に発表したところ、次世代パールとして話題となった。バルサパールのアクセサリーを販売している「トラスト」(東京都墨田区)社長の武島康郎さんは、次のように語る。
「コットンパールは本真珠の半分、バルサパールはそのまた半分の重さといえます。バロックパールのように、1つ1つ微妙に形が違うのも魅力で、大人の女性に人気です」
上品で美しく、つけているのを忘れるほど軽い、肩凝り知らずのアクセサリーだ。
※女性セブン2016年11月17日号