「治療がうまくいった“勝ち組”の例を出して、『あなたはこの治療をしてないけど大丈夫なの?』って。そんなこと言われたって、私だってわからない。母の言動は私の不安をあおるだけでした。しまいには、乳がんで亡くなったお母さんが、残された娘にみそ汁の作り方を教えていたという話をテレビで見て、私の娘にも料理を覚えさせたらいいんじゃないの、なんて言うようになって…。
母が一生懸命なのがわかるから、怒ったり、無視したりすることもできない。だけどやっぱり母の言動に傷ついたりイライラしたりしてしまうので、治療中は母と疎遠になりました」(田中さん)
またパートナーががんになってしまったことで、親との関係がこじれる人もいる。2年前、婚約中の彼が胃がんにかかり、彼が職場復帰した今も両親から結婚を反対されているのは高田理子さん(仮名、33才)だ。
「親は私が30才を過ぎた頃から『早く結婚しなさい』と言っていたんですが、彼との結婚だけは許してくれません。『先が見えないとわかっていながら結婚するなんて、親として絶対許せない』『その年で未亡人になったらどうするの?』って、怒ったり泣いたりしながら、訴えられます。それを直接彼に言ったりもするんです。いちばんつらいのは彼だから、私は親を遠ざけることしかできない。
父も母も私を大事に育ててくれて、大好きだから、私だってつらい。もうずっと私のことが心配で、夜も眠れないと言っています。私も彼も、そんな親をふり切ってまで結婚はしたくありません。年齢的にも子供を産むならそろそろちゃんと籍を入れたいんですけどね…。納得してもらえる日が来るのか…」(高田さん)
※女性セブン2016年11月24日号