ビジネス

バルミューダが日本でのものづくりにこだわる理由

バルミューダの扇風機「GreenFan Japan」の生産風景

 円安によって輸入コストが上昇したこともあり、昨年以降、自動車や電機などの大手メーカーが海外生産の一部を国内に回帰させる動きが強まった。しかし、それは為替要因だけではない。

 日本の生産現場だけが持つ技術力やノウハウといった「モノづくりの強さ」があらためて注目されている。

 2万円超のトースターや3万円超の扇風機など、独自の高性能家電を世に送り出してヒットを連発している家電ベンチャーのバルミューダは、日本でのモノづくりにこだわる一社だ。

 同社は2010年、自然界に近い風を作り出す扇風機「GreenFan」を発売。当初はコストの安い中国で生産してきたが、2014年に「メイド・イン・ジャパン」を前面に打ち出した「GreenFan Japan」を発売した。同社の広報担当者が説明する。

「中国の生産ラインはだいたい1人1 工程で長いラインを組むため、品質管理のためには開発担当者が生産現場に張り付かなくてはなりませんでした。そのための滞在コストや時間を考えると、必ずしも生産効率が高いとは言えなかった。

 一方、日本では1人が複数の工程を担うのが当たり前で、驚くほど生産ラインが短く、生産効率は非常に高い」

 さらに、日本の職人ならではの「匠の技」が活かせるという。

「製品の土台となる金型は何度も開発担当者との間でやりとりするものですが、日本でやれば“出戻り”が非常に少ないのです。図面の段階ではわからなかったコンマ数mmの差異などを老練の金型職人が目視や触覚で検知する能力がずば抜けて高いからです」(同前)

●文/入江一(ジャーナリスト)

※SAPIO2016年12月号
(11月16日に記事タイトルを変更しました) 

関連キーワード

関連記事

トピックス

東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
津波警報が発令され、ハワイでは大渋滞が発生(AFP=時事)
ハワイに“破壊的な津波のおそれ” スーパーからは水も食料品も消え…「クラクションが鳴り止まない。カオスです」旅行者が明かす現地の混乱ぶり《カムチャツカ半島地震の影響》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
牛田茉友氏はNHKの元アナウンサーだったこともあり、街頭演説を追っかける熱烈なファンもいた(写真撮影:小川裕夫)
参院選に見るタレント候補の選挙戦の変化 ラサール石井氏は亀有駅近くで街頭演説を行うも『こち亀』の話題を封印したワケ
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
技能実習生のダム・ズイ・カン容疑者と亡くなった椋本舞子さん(共同通信/景徳鎮陶瓷大学ホームページより)
《佐賀・強盗殺人》ベトナム人の男が「オカネ出せ。財布ミセロ」自宅に押し入りナイフで切りつけ…日本語講師・椋本舞子さんを襲った“強い殺意” 生前は「英語も中国語も堪能」「海外の友達がいっぱい」
NEWSポストセブン
大日向開拓地のキャベツ畑を訪問された上皇ご夫妻(2024年8月、長野県軽井沢町)
美智子さま、葛藤の戦後80年の夏 上皇さまの体調不安で軽井沢でのご静養は微妙な状況に 大戦の記憶を刻んだ土地への祈りの旅も叶わぬ可能性も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト
NYの高層ビルで銃撃事件が発生した(右・時事通信フォト)
《5人死亡のNYビル乱射》小室圭さん勤務先からわずか0.6マイル…タムラ容疑者が大型ライフルを手にビルに侵入「日系駐在員も多く勤務するエリア」
NEWSポストセブン