そして、球場からの帰り際に最も大きな声援を受けていたのは、新垣渚(ヤクルト)だった。プロ入り当初から応援し続け、この日は東京から駆け付けたという女性ファンの姿もあった。新垣夫人のゆいさんは、ファンに囲まれる夫の様子を見ながら「ああいう姿を見ると嬉しいな……」と漏らした。熱心なファン、そして家族にとってトライアウトは、選手の最後かもしれない雄姿を目に焼き付ける機会にもなっている。

 トライアウトが多くのファンに注目されるのはいいことだ。大観衆は参加選手たちの励みにもなるし、思い出にも残るだろう。ただどんなに素晴らしいイベントになろうとも、参加選手に差し伸べられる手の数が増えるわけではない。昨年の合同トライアウトには47選手が参加したが、その中で今年、NPBのユニフォームを着ることができたのは4人だけだ。

「あくまで一軍の戦力になるかどうかという基準。2、3年後にどうかとか将来的なことは一切考慮しない。その辺りはシビアに考えます」(小川SD)

 近年はNPBではなく社会人チームで現役を続ける選手も増えてきている。だが、その道に進むのも簡単なことではない。

「第一はチームの補強ポイントに見合う選手かどうか。その次は人間性が重要になってきます。チームにどれだけ馴染めるか、社会人としての振る舞いはどうか。そこがプロとアマの違いだと思いますから。この場だけでは性格まではわからないので、気になった選手がいたら、トライアウト後に独自に調査をすることもあります」(都市対抗野球出場の社会人チーム編成担当)

 今年参加した65選手のうち、何人が表舞台に帰って来られるのか。厳しい現実に変わりはない。

■撮影/本誌・藤岡雅樹 ■取材・文/田中周治

※週刊ポスト2016年12月2日号

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