スポーツ

プロ野球トライアウト、才能発掘ではなく最終確認の場

今年のトライアウトには65選手が参加した

 人、人、人の波──。11月12日に阪神甲子園球場で行なわれた12球団合同トライアウトには、史上最多1万2000人の観衆が詰めかけた。球場の外に長蛇の列ができたため、9時半の開門時間が30分も早められ、開門と同時に、無料開放された内野スタンドはファンで埋め尽くされた。昨年(静岡・草薙球場)の5000人から一気に倍以上に膨らんだ計算である。今年は投手42人、野手23人が参加した。

 トライアウトは、戦力外を通告された選手が、他チームとの再契約を目指し、プレーを披露する場だ。バッティングカウント1-1からのシート打撃形式。投手は3人の打者を相手にし、打者は基本的に4回打席に立つ。

 選手たちが生き残りをかける大勝負を、球団はどのような点に注目して観ているのか。ヤクルトで2014年まで監督を務めた、小川淳司SD(シニアディレクター)に聞いた。

「合同トライアウトには、補強ポイントをはっきりさせて臨んでいます。今年のウチの場合なら左バッター。あと投手陣の補強は毎年の課題なので、その辺りを中心に見ていますね」

 実はプロ球団にとって、合同トライアウトは、新たな才能を発掘するのではなく、目星をつけていた選手の最終確認の場という意味合いが強い。

「シーズン中にチームの編成部門が他チームの選手の評価もしている。それがこの場で変わることはない。ただ、出場試合数の関係で数回しかチェックできていない選手もいるので、その辺りはしっかり見ますが」(同前)

 トライアウトには現役続行を希望する選手全員が参加するわけではない。例えば今オフに自由契約となった細川亨(ソフトバンク)、田中浩康(ヤクルト)らは会場に姿を現わさなかった。彼らは既に「戦力になる」と判断された者たち。戦力外が公になった段階で各チームから連絡が入り、水面下で交渉に入っている。実際、トライアウトの翌々日には田中の横浜入団が発表され、細川も楽天入りが決まった。

 つまりトライアウトに参加するのは、そうした声掛けのなかった、名実ともに崖っぷちの者ばかりなのだ。だがこの日、グラウンドには「戦力外」の言葉から連想される悲壮感はなかった。1対戦ごとに満員の内野スタンドから拍手が起こり、むしろ温かさすら感じられる。中でも地元・阪神の選手がひときわ大きな声援を浴びていた。

関連キーワード

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
大河撮影前に2人で北海道旅行をしたという(時事通信フォト)
吉高由里子、セレブ恋人との結婚は『光る君へ』クランクアップ後か 交際は事務所公認、大河スタッフも“良い報告”を楽しみに
週刊ポスト
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン