それでは、厚労省が1日あたりの目標摂取量を6グラムではなく「男性8グラム未満、女性7グラム未満」としたのはなぜなのか。その理由を菱田氏がこう説明する。

「もちろん本来は6グラム未満としたい。ただ、日本人は1日あたり平均12グラム摂取しているという現状を踏まえると、摂取量を半減させるという目標は現実的ではない。当面の目標ということです」

 日本では1960年代から「塩分の過剰摂取が高血圧を招く」として減塩運動が行なわれてきた。にもかかわらず高血圧患者は1010万人(厚労省「患者調査」、2014年)と減る兆しはない。これをどう考えるのか。

「高齢者が増えているので、高血圧患者数の減少が数字として出ていないのかもしれません。しかし、注目してもらいたいのは『日本人の平均血圧は年々下がっている』ということ。

『国民健康・栄養調査』(厚労省、2014年)によれば、1965~2010年までの45年間で食塩摂取量は5グラム減り、それと比例して上の血圧は男性で140mmHgから130mmHg程度まで下がっている。日本高血圧学会は、欧米の大規模疫学調査などから塩分を1グラム減らせば、血圧は1mmHg下がるとしています」(同前)

 たった1mmHgしか下がらないのなら、塩分を気にせず食事を楽しみたいが……。

「個人的に、その気持ちはよく分かります。しかし、『健康日本21』(厚労省、2013年)では、血圧を2mmHg下げれば脳卒中死亡者は約1万人減ると推定している。日本全体として見れば1~2mmHgでも意味がある」(同前)

※週刊ポスト2016年12月9日号

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