国際情報

トランプ大統領の出現で「軍産複合体」の亡霊が蠢き出した

レーガン氏とは素養もリーダーシップもまったく異なる AP/AFLO

 世界が注視した米大統領選は、大方の予想に反してドナルド・トランプ氏が勝利した。過激な発言を繰り返すトランプ氏が大統領になることで、世界はどう動くのか? ジャーナリストの落合信彦氏が解説する。

 * * *
 大統領選の結果に対し、早くもヒラリー・クリントン支持派が大規模なデモを行って抗議しているが、アメリカの国内的課題を考えても「トランプ大統領」があの国をボロボロにしていくことは目に見えている。

 一番大きな問題は「借金」だ。アメリカの債務は公式なものだけで約23兆ドルに達し、医療保険制度をはじめ社会保障などに今後かかる債務を含めると200兆ドルにのぼるという指摘もある。トランプはそこに加えて、大幅な減税と財政支出拡大を約束している。もしそれを実行に移せば、借金はどんどん膨らんでいくことになる。ひとたび弾ければ、アメリカ発の世界金融恐慌を招きかねない危うさだ。

「格差」も深刻である。トランプは貧困層の白人にアピールして勝利したが、その「格差を生み出した諸悪の根源」と位置づけてきた移民たちは、簡単に追い出すことができるものではない。

 当選後のインタビューでは「犯罪歴のある不法移民など200万~300万人を炙り出して強制送還する」と発言していたが、現実にそんなことをしようとすれば莫大なカネがかかるだろう。トランプはそんな簡単なことにすら気付いていない。

 長い目で見て怖いのは、「軍」とトランプの関係だ。トランプは軍歴もなければ、軍事的な知識も安全保障に関する見識もない。それにもかかわらず、軍の幹部がトランプ支持を打ち出していたのはなぜだろうか。それは、軍についてまったく知らないトランプのほうが扱いやすいからだ。

 歴史を振り返れば、「Military-industrial complex(軍産複合体)」の存在は、アメリカに数々の悲劇を引き起こしてきた。詳しくは拙著『二〇三九年の真実』に記したが、ジョン・F・ケネディの暗殺も軍産複合体が仕組んだものだ。「戦争をすることで儲かる奴ら」が、アメリカに暗い闇をもたらしてきた。ソ連崩壊に伴い軍産複合体は姿を消したが、トランプ大統領の登場により再びその“亡霊”が甦ることも考えられる。

関連キーワード

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン