ぼくは今年、一般社団法人地域包括ケア研究所を作った。十勝地方の本別町に子どもからお年寄りまですべての人が安心して住めるような町を作ろうとしている。この安心と住みやすさで移住者が増えてくれたらいいなあと思っている。返礼品の十勝牛もうまい。本別は豆の町。日本一のうまい納豆もある。この納豆は本当にすごい。一度食べてもらいたい。こんな町にもぜひふるさと納税で応援をしてもらいたい。

 ふるさと納税をきっかけに、自治体はより多くの納税者の厳しい目にさらされることになった。ふるさと納税でそれほど増収がなかった町もあるし、減収した都市部の町もある。それも、自分たちの町の価値を考え直すいい刺激になるはずだ。

 ふるさと納税をするぼくたちも、目先の返礼品だけでなく、その町が生み出す新たな価値に気づく目を持ちたいと思う。

●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。近著に『「イスラム国」よ』『死を受けとめる練習』。

※週刊ポスト2016年12月23日号

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