ビジネス

ふるさと納税を子育て・少子化対策に活用し人口も増えた町

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 最近、人気の「ふるさと納税」だが、返礼品が豪華な自治体だけが効果をあげているといわれている。しかし、実際には返礼品だけでなく、税金をどのようにつかうかが継続的な納税につながっているようだ。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、北海道上士幌町のふるさと納税の話から、税金にとって必要なものを考えた。

 * * *
 先日、北海道の十勝地方の20近くの町村長たちの会に呼ばれた。地域包括ケアシステムの話をしに行った。そこで、上士幌町のふるさと納税の話を聞いた。

 上士幌の竹中貢町長によると、「十勝ナイタイ和牛」や牧場直送の「ジェラートセット」などの返礼品がテレビで取り上げられ、話題となった。人口5000人弱、財政が厳しい上士幌町に、ふるさと納税する人が増え、恵みの雨となった。ここまではよくある成功例だが、上士幌町の場合はここからがよかった。そのお金を有効に使いたいということで、使用目的を指定していないものは、「子育て少子化対策夢基金」で活用することにした。

 認定こども園「ほろん」を開設し、0歳児から受け入れ、利用料を無料にした。給食も無料にした。これは、働きたいという子育て中の母親の味方になった。それまでパートの求人がなかなか補充できなかったが、若い母親たちが子どもを預けてパートで働くようになった。

 小学校は1クラス15人程度の少人数制にした。子どもたちの学力、体力のレベルアップを目指した。学力テストの成績も上がった。幼児教育では、外国人による文化や英語の教育も取り入れた。

 こうした取り組みを、再びマスコミが取り上げると、ふるさと納税をする人が爆発的に増えた。なんと年間7万5000人、15億円を超すようになったのだ。住民税6億円弱の上士幌町に、である。

 その効果で、住民も24人増えた。若い女性が移住してきたのだ。北海道では都市部でも人口減が起きているなかで快挙といっていい。認定こども園に通園する子どもの数も、100人から140人に増えた。しかし、まだ雇用の需給バランスは悪く、60人ほど人手が足りない。特に、医療や介護のスタッフは不足している。竹中町長は、「もっと移住者が増えてほしい。人が増えれば、ますます魅力的な町になっていく。ふるさと納税は、町づくりのきっかけになった」と言う。

関連記事

トピックス

結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
阿部慎之助監督(左)が前田健太(時事通信フォト)の獲得に動いているとも
《阿部巨人の「大補強構想」》前田健太、柳裕也、則本昂大、辰己涼介、近本光司らの名前が浮上も、球団OBは「今はそんなブランド力はない」と嘆き節
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン