もう1人、復活したのは東海大の黄金ルーキー關颯人(せきはやと・1年)だ。出雲で大学駅伝初挑戦ながら青学大の下田裕太(3年)を抜き去っての3区区間賞。だがその後、合宿中に感染性胃腸炎でチームを離脱、長野の実家に帰っていた。この種のウイルスに感染すると体力も筋肉量も落ちるのが普通のところ、黄金ルーキーは驚異の早さで戻ってきた。
日体大での記録は29分9秒。驚くべきは、精密機械のように1000mを2分55秒で刻み続けたラップである。ストライドを伸ばさず、ラストスパートもせずに「1km2分55秒ペース」を淡々と刻む。2分55秒の動きと感覚の確認がテーマであったのだろう。
このペースで箱根2区(23.1km)を走れば、1時間7分22秒。東海大の“レジェンド”伊達秀晃が1年でマークした記録(2005年、1時間8分4秒)を上回る。俄然「關の2区」も楽しみになってきた。
本番前の妄想は次々と膨らむ。11月26日の学連記録会で28分31秒を出した青学大の鈴木塁人(1年)はツイッター上で、早稲田大の“神ってる”鈴木洋平(4年)に、〈一緒の区間とかで走ってみたいですね~〉と投稿。早稲田大の鈴木は〈28分台選手には勝てないからやだ笑〉と返信(12月1日)。今年の箱根には、他にも予選会で日本人1位の神奈川大の鈴木健吾(3年)、同じく神奈川大で1万m28分台の鈴木祐希(3年)もいる。“鈴木軍団の直接対決”も見どころだ。本番が待ちきれない。
※週刊ポスト2016年12月23日号