芸能

サーカスのキリンは首が長いのにどうやって移動するのか

世界でも希少なホワイト・ライオンも加わった猛獣ショー

 国際情報誌SAPIOの人気連載『日本の芸能を旅する』第七回はサーカス編。ノンフィクション作家・上原善広氏が木下大サーカスの木下唯志社長のもとを訪ねた。今の社員は日本人で100人、外国人30人ほど。逆ピラビッド型の経営を目指して、社長を含めて社員はみな平等なのだという。木下社長にサーカスに込めた工夫や、動物にまつわる意外な話を聞いた。

 * * *
 私が訪ねたときは、唯志社長自らがマイクを握って入場整理をしていた。チケットも切るし、テントの掃除も率先してするという。

 しかし、サーカスは移動公演だから大変だ。一年あたり四、五場所で公演をおこない、移動の際は住居代わりのコンテナ四〇棟ほどを二、三日かけて動かす大移動となる。一一四年の歴史の中で、四七都道府県すべてを回った。

「本当は半年くらい常設でやって、あとはツアーというのが理想ですが、サーカスの常設はなかなか難しい。まあ移動といっても大体やる場所は決まってきますから、四年ごとにくる大阪の花博跡地では信用も得てますからね。会場は二〇〇〇席ほどですが、これ以上増やしても駄目。サーカスの規模としてこれくらいの方が見やすいでしょう」

 以前からあるショーも、常に工夫し続けている。金網の中をぐるぐる回るバイクのショーでも、以前は三周回るだけだったのが、それだけだと面白くないので、最初に女性ダンサーも入れて華やかさを出し、バイクで会場を回ったりするようになった。

「売店にキャラクター商品を置いたりして、とにかく考えられることは全てやる。日本の古典芸能も、坂綱というのを入れたりもしました。これは幸い好評をいただいています」

 坂綱とは、斜めに張った綱渡り芸のことだ。日本ではしばらく途絶えていたが、いろいろな資料を元に復活。東大寺でも奉納披露された本格の芸だ。唯志社長は世界サーカス連盟大使にも任命されているから、これは世界に誇れる立派な日本のお家芸といえる。

「ボリショイと中国は国立ですから、私たちのライバルはアメリカのリング・リング・サーカス、カナダ・ケベック発祥のシルクドソレイユ、ドイツのクローネです。クローネなんかは冬の間は常設で、ここで老馬のケアハウスを運営しています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン