◆誕生は今から400年前
オーケストラが誕生したのは今から400~500年前。バロック期までさかのぼる。
「初期の頃は、宮殿に呼ばれて王様の前で演奏していたので、人数は10人、多くても20人くらい。楽器もバイオリン、チェロ、ホルンと限られていたので指揮者もおらず、演奏の指示をするのは、今のコンマスのような人でした。時を経て、今から200年前頃のベートーベンの時代になると楽器の種類も増え、迫力のある音が求められるように。人数も30~40人に増え、今に近いオーケストラの形になりました。それで専門的に演奏を統一できるように、指揮者が誕生したのです」
日本で本格的なオーケストラが誕生したのは大正3~4年頃。『赤とんぼ』の作曲者で知られる山田耕筰がドイツ留学で得たオーケストラのノウハウを日本に持ち込み、帝国劇場で演奏したのが始まりとされている。
◆トップオブ神童が集まる日本のオーケストラ
日本にあるプロのオーケストラは、日本オーケストラ連盟に加盟している楽団だけで、全国で34(2016年12月13日現在)。これ以外にも多くの団体が存在する。
「宝塚歌劇オーケストラのように連盟に加盟していなくても、素晴らしい演奏をする楽団もあります。小規模な楽団を含めると数えきれません」(大久保さん)
しかし、プロの演奏家の中でもオケの団員として安定した給料をもらえるのは極ひと握り。
「団員募集は定期的ではなく、欠員が出た時だけ。募集人数1人に対して国内外から100人単位の応募があり、オーディションで選ばれます。この難関を乗り越えて合格するのは、小さい頃からその街の神童と呼ばれたような人ばかりです」(大久保さん)
いわばオケの団員は“超一級演奏家の集まり”といっても過言ではないのだ。
※女性セブン2017年1月5・12日号