このセミナーに参加者を連れて行けば、X氏にインセンティブが与えられるのだろう。そんな自らの利得行為に大切な仲間を使うとは何事だ! と思ったのである。その後、X氏から返事が来たが、そこには仰天の文章があった。
〈(素晴らしいセミナーなので)私がなんとか席を確保し、皆さんを招待したかったのです。そんな皆様のためを思う気持ちが強かった〉
このメールを見た100人ほどのほとんどが頭を掻きながら「う~ん、そういうことじゃないんだけどなぁ……」と困惑している姿が想像できる。私は「もうXさんのメール見たくないんで、MLの管理者は私をMLから外してください」と依頼する結果になり、このMLとの縁は切れた。さらに、その後ML参加者からは「Xさんのワケのわからないメールに中川君が噛みついてくれたのでこうして連絡する機会が生まれました」というメールまでもらった。私にとっては結果オーライである。
ちなみに前出のセミナーの主催者(この人も自称・富豪)を検索したら、彼が参加するセミナーの告知だらけで実績がよく分からない。著書をアマゾンでチェックしたら信者による絶賛キャーキャーコメント+「★5つ」の嵐。ツイッターのフォロワー数が10万近い。ただし、内訳を見たら外国人だらけ。つまり、彼はフォロワーをカネで買っているのである。こんな虚飾まみれの人物を信用しているX先輩が少し気の毒になった。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2017年1月13・20日号