──DVが一度もなかったと言えますか?
「ちょっとそれは無責任に言えることじゃないんで…。今この場では、お返事はできません」

 それだけ絞り出すと彼は立ち止まってうつむき、鼻をすすった。そして数秒間の沈黙のあと、「すみません、帰ります…」とつぶやいて自宅の方向に戻って行った。

◆逮捕の瞬間 子供たちも家にいた

 そして、その3日後。事態は大きく動いた。陽射しはあったが、冷たい風の吹く日だった。2階のベランダに干された子供たちの洗濯物が揺れている。

 1月10日13時前。警視庁の捜査員5、6人が朴容疑者の自宅に入っていった。家の中には朴容疑者の母親だけでなく、小学生2人と幼稚園児の3人の子供がいた。捜査員が「殺人容疑」の逮捕状を朴容疑者に指し示す。すぐ近くの部屋に、子供たちがいる。温情なのか、警察は朴容疑者に手錠をかけず、ベルトの腰のあたりをがっちりとつかんで連行した。彼の手には、準備していたのであろう着替えが入ったボストンバッグが握られていた。

 講談社広報室は、「このような事態になり大変遺憾です。本人は無実を主張しており、捜査の推移を見守りつつ社として慎重に対処してまいります」と話す。

 朴容疑者が警察車両で去っていった10分後、続々と集まってきた捜査員が再度、自宅の中に入っていく。家宅捜索が始まった。その時だった。朴容疑者の母親に手を引かれた3人の子供が家から出てきた。母親は右手で長女を、左手で長男と次女の手を引き、隣の家に入っていこうとする。

 ふと長男が立ち止まった。捜査員や集まったメディアをぐるりと見回す。幼い子供がこれほどまでに不安そうな面持ちを浮かべられるものなのか──。この子らの将来を思うと暗澹たる思いにとらわれる。なぜという疑問が湧き上がる。容疑が事実とすれば、父が奪ったのは、母親の命だけではない。

※女性セブン2017年1月26日号

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