「いろんな人がいろんな感想を持てるような編集にしました。例えば、男性は、津端修一という生き方は不器用だけどかっこいいと見られるように。女性は、あこがれの暮らしという見方で、鑑賞できるように。性別、年代、その人の今の状況によって、見え方が違う感じにしたかったんです」
誰の心にも訴えるような作り方をした一方で、共通して伝えたかったメッセージがある。 伏原さんは、エンドロールの後に“あるワンカット”を入れた。それは、映画『風の谷のナウシカ』のラストカットを意識したという。
「余韻が残るというか、未来が広がるようなラストにしたかったんです。私はジブリ作品を少年時代に見て育ちました。宮崎駿監督が引退会見で言っていた『この世は生きるに値する』という言葉がずっと心の中に残っているんです。
そんなメッセージを、自分の作ったドキュメンタリーでも伝えたい。『人生フルーツ』は、理想のスローライフを描いた映画ではありません。私も含め津端さん夫婦の生活はおそらく誰にもまねできない。だけど、そんな夫婦が現実にいると思えるだけで、生きてて豊かになると思うんです」
アメリカの建築家・フランク・ロイド・ライトは言った。
「長く生きるほど、人生はより美しくなる」
※『人生フルーツ』は、ポレポレ東中野(東京)で公開中。順次全国公開。詳細は、http://life-is-fruity.com/
※女性セブン2017年1月26日号