私は本義の労働研修生や留学生の受け入れに反対しているのではない。日本もかつて先進国へ同じように若者を送り出した。また、政治的亡命者についても受け容れるべきである。孫文も康有為も、金玉均も、ビハーリー・ボースも、スタルヒンも、全部日本は受け容れた。

 ところが、今、サルマン・ラシュディが亡命を求めてきたら、日本はこれを受け容れるだろうか。『悪魔の詩』の作者ラシュディは、イスラム指導者から死刑宣告を受け、何度も身の危険を感じながら転居を繰り返している。その『悪魔の詩』の邦訳者、筑波大学助教授五十嵐一(いがらし・ひとし)は、1991年同大構内で何者かに殺害された。喉首(のどくび)を鋭利な刃物で掻き切られて。日本では前例のない残虐な手口だ。犯人は不明なまま時効となった。

 ラシュディは厳重な警備に護られて事実上の亡命中だ。日本がラシュディを受け容れたら、半年もしないうちに殺害され、犯人は時効のまま国外逃亡するだろう。

 出入国管理がゆるい日本は明治時代よりも逆に亡命不適切国となっている。

●くれ・ともふさ/1946年生まれ。日本マンガ学会前会長。著書に『バカにつける薬』『つぎはぎ仏教入門』など多数。

※週刊ポスト2017年1月27日号

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